18話 ページ20
あ)「ちょ、鶴丸！しっかりして！」
鶴)「……」
ダメだ、何も聞こえてない。
乱)「ハッ。闇落ちね。……ざまあみろっ…っ」
嘘だな。
正確には、半分嘘。
あ)「…乱君、その闇落ち、どうしたら止められるかな？」
初めて、私と目があった。
さっきよりも深く睨みつけ、あざ笑う。
乱)「ボク、あんたみたいな”いい人”嫌い。別に、ボクらには代えがきくんだし。いいじゃん、ほっときなよ」
鶴丸も、乱君も。
”代え”だとか、そーゆー事じゃないのに。
……いい人、ね。
あ)「…いい人じゃないよ」
いい人なんて、いる訳がない。
結局皆、自分が一番好きで、一番可愛い。
私だって…
あ)「私、鶴丸だけ助ければそれでいい。乱君は鶴丸が探してるから探しただけ」
乱)「…っな！」
あ)「…何？綺麗事言うとでも？…まさか。私の家族は鶴丸だけしかいないの」
…なーんだ。
やっぱり、助けてほしいんじゃん。
助けてくれると、慰めてくれると思ってたからそんな”傷ついた”顔、してるんでしょ？
ひねくれてる。
だけど、何だか、人間みたいで可愛いかった。
あ)「…私も、いいコちゃんは嫌いなんだ。…特に、貴方みたいな”いいコちゃん”」
乱)「…っバカに、するな！」
あ)「してない。貴方みたいな…助けてほしいのに、仲良くしたいのに…我慢してる”いいコちゃん”は、…構いたくなる」
どうせなら。
拗れていた方が面白い。
誰しも、かかえてない闇などないのだから。
乱)「…狂ってる」
あ)「君も、変わらないけど？」
乱君は口を閉じ、黙ってしまった。
それから、冷たい目で私を見つめる。
乱)「あんたの事、嫌いだけど。鶴丸さんには文句がいい足りないから、ソレを終わらせる方法、教えてあげる」
そう言って、乱君が鶴丸に近づいた。
それから、何やら耳元で呟く。
その瞬間。
パァっと晴れ、いつも通りの鶴丸がいた。
鶴)「…っ本当、か？」
乱)「…どうやら、本物の鶴丸さんらしいね。…そうだけど」
鶴丸は泣きながら、喜んでる。
二人が何を話したかは知らないけど。
もう黒いモヤモヤは見えない。
鶴丸にも、勿論…乱君にも。
あ)「…ひとまず、この子を連れて帰ります」
鶴)「あぁ。また明日、ここに来よう」
乱)「…ボク、行くっていってないんですけど」
あ 鶴)「「…だから？」」
乱)「…もう、いいよ」
大人しくなった乱君をつれ、来た道を戻る。
来たときよりも、一人増えた状態で、私達の本丸へ…家へ、帰る。
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
