17話 ページ19
こんのすけは、用がすめばポフッと消えてしまった。
あ)「…鶴丸、行きますか」
渡されたのは、紙。
その紙に、番号が書かれていた。
これを、更地でみた機械で調節するらしい。
ちなみにこの機械は、一家に一台的な感じで、門付近に設置してある。
鶴)「すまないなぁ」
謝ってばかりの鶴丸。
だけど、どこか嬉しそうだ。
ダイヤルを回し終え、機械に手を添えたまま立つ。
鶴)「ほら」
あ)「…ありがと」
キュッと手を握り、移動するまでまつ。
…ほんとは。
もう、平気なんだけど。
”大丈夫”と断ることができないでいた。
段々と光につつまれてく。
…どうか。
会えますように。
あ)「…うへぇ…」
酷い。
それが、第一声だった。
何年も、人が住んでなさそうな家。
門はボロボロで。
所々腐った木は、蹴ったら壊れそうだ。
壊さないようゆっくり押し、中に入る。
…想像、してたけどね。
廊下から離れまで。
全部傷んでいた。
あ)「…誰かいますかー？」
いるわけない。
ってか、いたらすごいよね。
そう思いながら、部屋を散策する。
鶴丸は顔が強張り、一言も話さない。
と、唐突にギシッと音がした。
あ)「…誰？」
音が止み、また静けさが戻ってきた。
鶴)「…なぁ、いるんだろ？俺だ！鶴丸だ！」
「…鶴丸さんは、いるはずないよ」
現れたのは。
所々服が破け、髪はくしゃくしゃで、血がついてた、女の子だった。
鶴)「…乱じゃないか」
乱…？
彼女の事を調べれば、すぐにでて来た。
彼女…いや、彼、か。
彼は短刀で、乱藤四郎と言うらしい。
あ)「鶴丸、この子であってる？」
鶴)「あぁ。……なぁ、乱。他の奴らは知らないか？」
鶴丸が一歩前に踏み出せば、ビクッと肩をゆらし、キッと睨んだ。
それから…
乱)「…ボクに近づかないでよ」
ゆらりと、自身を取り出し見せつける。
…どうしよう。
あ)「み、乱君。私達と一緒に来ない？」
鶴)「あぁ、そうだ！また、一緒に暮らそ」
乱)「…裏切り者は、黙ってよ」
鶴)「…っ」
目の前の、小さな口から紡がれた言葉。
”裏切り者”は、鶴丸を傷つけるのには十分だった。
乱)「何、傷ついてるの？今更でしょ。…ボク達が傷ついてる時、鶴丸さんは何してたの？…今だって。その人と一緒にいるよね。まさか…主だとか言わないよね」
憎い、辛い、嫌い…助けて。
そんな気持ちが彼を取り巻いている。
黒いモヤモヤが取り付いてる。
…これは、やばい。
あ)「つ…！？」
それは、鶴丸からもでていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
