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49話 貴方side ページ19

私達はきっと間違ってる。
繋がれた右手を見て、強く思った。


近くのホテルに入った私達は、部屋に入った瞬間にキスをした。
風呂に入ることなく、濡れた体を気にすることなく唇を交えながら服を脱いでいった。

貪るような激しいキスに、体の奥が蕩ける。
甘い刺激が幾度となく走り、泣きそうになった。

私達は間違っている。
ちーは失恋したてだし、私には雅人さんがいる。

…正確には、いた、だけど。
お互い好きでもないのに体を重ねて。

でもちーが言った、キスしたいと思うほどには好きなのだ。
一緒にいて楽しいし、楽だ。

そんな彼と今こうしてる事は、なんだ。
この感情は、なんて名付ければいいんだろうか。

ただ、一つだけ。

私達はもう、元には戻れない。





朝起きて、体に違和感があった。
胸が苦しい。

何か乗ってる…?
そう思って目を開けると、腕があった。

…え?
横を見ると、スヤスヤと眠るちーの顔があった。

至)「…ん」

私を抱き枕か何かと間違えてるのか、そのまた抱き寄せられ、ちーの顔が私の胸に挟まった。

…何、これ。
いや、わかってるけど。

昨夜の記憶が消えたわけじゃない。
むしろ鮮明に、一から覚えてる。

…消えたい。
恥ずかしいやら情けないやらで、顔を覆った。

今更かもしれないが、でも朝と夜とではテンションも雰囲気も違うし。
何より、まさか私がちーとそうなるとは、微塵も思わなかった。

だってちー、私を女だと思ってないと思ってたし。
あーあーあー。

どうしよう、これ。
こんな時でもよぎるのは雅人さんで。

近くにあったスマホを手繰り寄せた。

あ)「わ」

画面に広がる、着信履歴とメッセージ達。
全て雅人さんからだった。

雅人ごめん
雅人話したいことがある
雅人見たら連絡してほしい

雅人今どこ?
雅人まだ帰ってない?
雅人何処にいるの?

至)「うわ、大量のメッセ必死すぎわろた」

あ)「わ!…ち、ちー」

至)「おはよ。で、西崎さんからの連絡どうすんの?」

あ)「…まだ、心の準備が…」

こんなに心配してくれた事なんて、今まで一度もない。
話したい事だなんて、今更何を話せばいいのかわからないし。

別れ話をされたら、私、死んでしまいそう。

至)「ふーん。じゃあ二度寝しない?今なら至さんの腕枕付き」

あ)「は?え、ちょ、ちー?!」

至)「よいしょっと。…今はまだ返信しなくてもいいんじゃない?起きたら考えなよ」

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作者名:なーこ | 作成日時:2019年1月17日 22時

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