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246話 ページ6

月日は流れるように過ぎた。
季節は巡り、三度目の春が来た。

外では鶯がさえずり、ポカポカと陽気な気温に眠気が誘われる。
相変わらず、乱は口をきいてくれない。

安定との距離も、ぎこちない。
清光も、どこか遠慮していた。

審神者になって、ニ年が過ぎた。
私はあれから、"主"としてふさわしくなれるよう勉強中だ。

慣れない事と言えば。
左の感覚と。

…青江が、そばにいない事だ。

いつだって、間違えて呼んでしまう。
そんな時、きまって涙が出る。

私が泣くと、皆黙って部屋を出てくれる。
だけどひーちゃんは。

ひーちゃんだけは、ずっと側にいてくれる。
抱きしめたりはしないけど。

手を伸ばせば触れられる距離にいる。
それから、あらら、思い出しちゃったんだねぇ、なんて。

穏やかな顔で見ててくれる。
…優しいコなのだ。




歌)「今日はお花見でもいかないかい?」

あ)「行きたい」

歌)「じゃあ準備するよ。…ほら、シャキッとして。簪、出して」

あ)「お願い」

歌)「随分髪が伸びたね」

あ)「もう切ってないからね。あと少しで腰だよ」

歌)「あぁ。君のいけないところは、艶が少ない所だね」

あ)「…どーせ、歌仙みたいに綺麗じゃないですよーだ」

歌)「君が乾かさないのがいけないんだろう?」

桜が満開になった。
私達の裏山に、綺麗な桜が咲いている。

そこに行くんだろうなぁ。
着替えは基本、歌仙がやってくれる。

化粧ぐらいは、自分でやるけど。

燭)「準備出来たかな?…うん、綺麗だね」

あ)「本当?歌仙がやってくれたー」

歌)「料理、任せっきりですまなかったね」

燭)「あぁ、気にしないで。さぁ、行こうか」

あ)「はーい」

玄関で靴を履きかえる。
バランスが取りにくいから、歌仙の腕を組んだ。

ふふん、と笑うと、全く、なんていいながら、歌仙も笑った。

あ)「…綺麗だねぇ」

目に飛びこむのは、ピンク。
淡いピンクが、私に降り注ぐ。

桜は一本だけじゃなかった。
何本も咲いて、花道みたいだった。

あ)「まるで貴方達の花弁のようだ」

歌)「…そうか。君には、こう見えるんだね」

燭)「あぁ。やっと、君と同じものを見えたよ」

そうだよ。
貴方達は、こんなに綺麗なんだ。

鶴)「おおーい!こっちだ!」

あ)「…鶴丸?」

一本の、大きな桜の下に、鶴丸が手を振っていた。
いや、鶴丸だけじゃない。

本丸の、皆が座っていた。

あ)「皆…なんで…」

せーの、と声がした
それから…

「「「就任二周年、おめでとう!」」」

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華音(プロフ) - こんばんわ☆初めまして(*^^*)凄く面白くて感動致しました。゚(゚´Д`゚)゚。ただ、全体的に所々ではありますが誤字脱字が多く見られましたので^^;御報告致しますね♪それではこれからも頑張って下さいませ(*´∇`*) (2020年6月22日 22時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
Rain Rabit - めちゃくちゃ泣きながら読みました…皆格好よすぎか…!!! (2019年12月17日 23時) (レス) id: 9c6dd3d23f (このIDを非表示/違反報告)
めめこむまーりん(プロフ) - 凄く感動しました。途中途中涙が止まらなくて何度中断したか。。 (2019年1月30日 3時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
cfDbg4VRAsnucMY(プロフ) - (´;ω;`) (2018年7月17日 22時) (レス) id: 7462f02827 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - よっしーさん» ありがとうございます! 青江を好きになってくれたら嬉しいです^ ^ (2018年7月16日 0時) (レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーこ | 作成日時:2018年7月11日 22時

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