鶴の無き声 ９

エピローグ ページ11

拝啓、A様

いかがお過ごしでしょうか？

…なんて、君に堅苦しいのはおかしいかな。

君が居なくなって、悲しむ暇もない程、僕らは忙しくも楽しい日々をおくってるよ。

君が産み出してくれた宝物は、すくすくと成長し、今では言葉を話せるようになったんだ。

最後に君に伝えたかった言葉。

聞こえてただろうか？

僕は君を愛していたんだよ。

でもね、あの日。

君の花嫁姿を見て悟ったんだ。

君はきっと僕じゃなかったんだって。

それでも君が僕を愛してくれてた事は、本物だったのは、分かってる。

ありがとう。

僕に、愛を教えてくれて。

最後まで僕と共にあろうとしてくれて。

幸せだったよ。

だから、今度は僕が、君の幸せを祈るよ。

ずっと祈るよ。

君の、愛刀より。

にっかり青江



「あおえーーー！お母様のお話、してー！」

「僕も！ききたーい」

青)「はいはい。…そうだなぁ、彼女はねーーー」





ーーーありがとう、青江。私、幸せよ。




聞こえるはずのない、彼女の声が聞こえた気がした。

大丈夫だと、幸せだと言ってる気がして、笑みがこぼれた。


今日も僕は、届くはずのない手紙を、君に向けて書いている。

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