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242話 ページ2

青)「A、君と過ごす毎日は楽しかったよ」

あ)「私も」

青)「僕を選んでくれて、ありがとう」

あ)「青江だって…私を選んで来てくれて、ありがとう」

青)「僕の主」

あ)「…っ」

青)「幸せになるんだよ」

もう言葉には出来なかった。
伝えたい事はあるのかないのか。

だけど私は。
私は、貴方と生涯を終えたかった。

ただ、それだけだった。

晴)「…時間だ」

あ)「…青江…!」

最後は笑おう。
涙が出ようが、鼻水が出ようが。

歪に見えるかもしれないが、今はこれが精一杯だ。

青)「…さよなら、主」

涙を流しながらも、笑う青江は、綺麗だった。
女の私よりも。

バカ。
私より綺麗な顔で笑いやがって。

先に、逝ってしまうなんて。

晴)「これより、にっかり青江の解体を始める」

「はっ」

青)「…っA…!あいしーー」

カランと音を立てて、青江は刀に戻った。
魂も宿らない、ただの鉄になった。

それからピキピキと音を立て、砂のように消えていった。

あ)「…聞こえないよぉ…っ」

もうあの花弁は見れない。
彼の笑顔も、声も。

私の半分が死んでしまった。
この左目と同じ。

二度と、戻らない。

晴)「…それから。にっかり青江の主、Aは、今後"にっかり青江"を顕現することを禁ずる」

あ)「…はい」

晴)「もう一つ、1ヶ月の本丸謹慎処分が決まった。誰にも会わず、外にも出ず、演練もダメだ。わかったな?」

言葉を出す気力もなくて、頷いた。

晴)「…もう、無茶はやめてくれ。気をつけて、帰るんだぞ?」

お父さんは私を抱きしめかけ、やめた。
それから頭を撫で、行ってしまった。

鶴)「…帰るぞ」

あ)「鶴…」

鶴)「さぁ、行くぞ」

肩に回された腕にすがりつくようにして歩く。
鶴丸は私をあやすように軽く叩いた。

ゲートまで、長く感じた。
光が私達を包み、溶けていった。



ーーー大丈夫。僕は常に君の側にいるからね。



鶴)「おおい、帰ったぞー」

前みたいに、元気よく走ってくる足音は、ない。
合わせる顔なんて、なかった。

鶴)「なんだ、出向かえもなしか。…まぁいい。部屋に行くか?」

「いや、広間に直行だよ。…主さん」

鶴)「…堀川」

いつのまにか立っていた、堀川。
彼は私を無表情で見下ろす。

あ)「…わかった」

堀)「僕、これでも責任感じてるんだよね。あの時の隊長だったし」

あ)「ごめん、なさい」

堀)「いいんだ。謝らないで。だって僕、主さんが大事なんて思ってないから」

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華音(プロフ) - こんばんわ☆初めまして(*^^*)凄く面白くて感動致しました。゚(゚´Д`゚)゚。ただ、全体的に所々ではありますが誤字脱字が多く見られましたので^^;御報告致しますね♪それではこれからも頑張って下さいませ(*´∇`*) (2020年6月22日 22時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
Rain Rabit - めちゃくちゃ泣きながら読みました…皆格好よすぎか…!!! (2019年12月17日 23時) (レス) id: 9c6dd3d23f (このIDを非表示/違反報告)
めめこむまーりん(プロフ) - 凄く感動しました。途中途中涙が止まらなくて何度中断したか。。 (2019年1月30日 3時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
cfDbg4VRAsnucMY(プロフ) - (´;ω;`) (2018年7月17日 22時) (レス) id: 7462f02827 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - よっしーさん» ありがとうございます! 青江を好きになってくれたら嬉しいです^ ^ (2018年7月16日 0時) (レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーこ | 作成日時:2018年7月11日 22時

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