鶴の泣き声５ (ページ4)

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124話ページ4

「うわぁぁあああ！」

何？
何をやってるの？

時折聞こえる悲鳴に心臓がギュッとなる。
誰の悲鳴なの？

「やだ…ぁ…あぁ…あああ！！」

その声が、安定のものだと気づくのに随分かかった。

あ)「ーー！！…！？」

声が、出ない。
口に詰め物を入れられてるわけじゃないのに。

どんなに叫んでも、出ない。
まるで縛られてるようなーー

…あぁ、そうか。
曲がりなりにも、ここは政府の一部。

陰陽道に関わった奴がうじゃうじゃいるわけで。
声を縛るのなんて、造作もないわけか。

だったら、やる事は一つ。

ーー青江、青江、聞こえる？

ーーA？大丈夫なのかい！？

ーー私は平気。…だけど、声は出ないし見えないし動けないんだよね。

ーー無事でなによりだよ…。

ーーそっちに皆いるの？

ーーあぁ。一応、ね。

ーーねぇ、悲鳴は安定のでしょ？彼は無事？

ーー…。

ーー青江、教えて。

ーー…多分僕らは皆、幻術をかけられてる。

ーー幻術…？

ーーあぁ。…1人ずつかけられて、それを…見守るしかできないんだよね…っ。

ーー…卑劣な。今は安定の番って事ね…。何人目？

ーー…大和守くんを含めて2人目さ。

ーー誰が…

ーー歌仙くんだよ。

「ひぃ…あ、あぁ…あぁあああ！」

…聞いてられない。
何もできない自分が悔しくて悔しくて、情けない。

何が”友人”だ。
”シェアハウス”だ。

これじゃあ、何も変わってない。
私は主になりたかったわけじゃないけど。

彼らを救いたいと思ったんだ。
昔を忘れるぐらい、楽しく生きて欲しいと願ったんだ。

あの本丸の中で私が”主”なんだから。
…しっかりしろ、私。

ーー…青江、ちょっと身体…いや、目を貸してくれる？

ーー僕はあまりお勧めできそうにないよ。

ーーいいの。…大丈夫。どんな状況でも受け入れるから。

ーー…分かった。

意識を青江の霊力だけに集中させる。
ぐわっと意識を引っ張られ、ぼんやりと見えてきた。

目の前には目を大きく開け、涙を流す安定がいる。
頭を抱え、震えていた。

その近くで、歌仙がぐったりと横たわっている。
その目には光がなく、ただぼんやりとしているだけに見えた。

伽羅はドアをしきりに睨み、自由になろうともがく。
鶴丸とひーちゃんは、その光景をただただ見つめるだけ。

「…っ…っ…」

ふと、下に目をやれば、私…もとい青江にくっついて震える乱がいた。
安定を見て、次は自分の番かと怖くなったんだろう。

青)『…っクソっ』

状況は、最悪だ。