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あれからは、僕の世界には、銀と、太宰さんに認めてもらうことしか無くなった

そうして、6年ほどが流れっていったのだ




だから
先程4年ぶりに会った太宰さんが発した言葉が未だに飲み込めなかった


「Aちゃんね、生きてるよ。武装探偵社が間一髪で助けていたのだって
 今は一般の市民をやっているそうだけれど、なんと、成人するまでは敦くんとおんなじ孤児院にいたそう
 きみのことなんて、忘れちゃってるかもしれないなぁ」








Aは、生きていたのか

明るい日の下で、明日というものを保障されながら心安らかに暮らしているのか

それがまことだとしたら、どんなに良いか知れぬ



しかし
ーー僕以外の誰かと親しいという一点のみが、吐き気を催すほどに忌まわしい


会って話がしたいのだ
積もる話もあるが、下らぬ話題だって良い

鈴が転がるようなあの声を、一度とは言わずに、聞きたかった

瞼に焼き付いて離れないあの笑顔を目にしたかった

願わくば、銀とまた3人で会えたのなら
フラフラと立ち上がって、しかし確かな声で樋口と立川を呼びつける


「樋口、菊池Aという19ほどの女の情報を手に入れろ
 ただし、決して手荒い真似をせず、絶対気づかれることのないよう
 それから立川。広津に今夜は銀に仕事を入れないよう言伝を」

2人が速やかに部屋を出ていくのを見届けると、ハタ、と虚しさが襲う

僕は、一体何をしているのか


奴は、卑しさや下劣な悪を嫌った

果たして今の僕はそれに当てはまらないと言えようか

否、言えるわけないのだ


胸いっぱいにわだかまりを残したまま、僕は突っ立っていた。


 

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月華(プロフ) - 梅雨さん、新作品おめでとうございます!タイトルも採用していただいて、とても嬉しいです!お話を楽しみにしていて、梅雨さんを応援してますので、頑張ってください! (5月12日 10時) (レス) id: 216fbd3da5 (このIDを非表示/違反報告)
フラグ警察(プロフ) - 失礼します。こちら二次創作物のようですので、オリ,フラは外された方が良いかと…💦 (2023年5月7日 20時) (レス) id: b5d6f4556d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吾輩は梅雨である。書生であるが猫は食べぬ。 | 作成日時:2023年5月7日 19時

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