【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ9)

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第8話ページ9

朝目覚めるとそらはいなかった。

講義の時間が違うから先に大学に行ったんだろう。

時計を見ると今は10時27分だった。

私の講義の時間は昼から。

だから少し時間があった。

私服に着替え、大学の近くのカフェに向かった。

カフェに行くと窓際の方の席に座った。

まだ人が少なく、落ち着くにはちょうど良い場所だった。

「ご注文、お決まりですか？」

メニュー表を眺めていると、若い店員さんが聞いてきた。

「あ、えと…ミルクコーヒー１つとショートケーキを１つください。」

実はまだ決まっていなくて、たまたま目に付いた物を頼んだ。

まぁショートケーキは好きだし、そこまでの値段じゃないから。

メモを取った店員さんは一度軽く頭を下げた後、店の奥へと向かった。

持ってきていたパソコンで編集をはじめた。

この前撮った動画の編集だ。

シリコンのスマホケースを作ると言う動画。

BGMをつけたり、カットをするだけでも結構時間がかかる。

編集に集中していると、後ろの席に誰かが座った。

まぁ別に誰でも良いけど。

そのまま編集を続けようと思った時、パソコンの画面に反射した人物に私は釘付けになってしまった。

画面に反射した赤い髪は私の知る中で1人しかいない。

アバンティーズのエイジだ。

最悪…。

彼には悪い印象しかないし、正直話したくないし、会いたくもない。

どうしよう…。

まだ頼んだものは来てないけど、席移動しようかな。

それとも知らないふりする？

悩んで悩んだ結果、私は席を移動することを決めた。

まだ編集し終わっていない動画を保存し、電源を落としたパソコンを抱えて席を立った時、誰かが私の腕を掴んだ。

その誰か…なんて1人しかいないでしょう。

そう、彼です。

「…あ、あの…(「ごめん」

私の言葉を遮ったのは彼の弱々しい声。

昨日とは大違いだ。

「昨日は…色々酷いこと言ってごめん…。色々誤解しちゃって…」

目を泳がせながら彼は謝った。

特に謝るようなことはしてないと思うが、流れに沿って一応私も謝った。

「いえ…私も誤解を招くようなことしてすみませんでした…。」

一度彼と目があった。

よく見ると整った顔してるなぁ…。

赤い髪だからよくわからないけど童顔なのかもしれない。