【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ45)

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第41話ページ45

｢これツリメに似てない？可愛いw｣

｢あ、そう…｣

そらに誘われた私は､指定された時間に指定された場所にやってきた｡

そこに現れたそらはいつも異常にお洒落だった。

その後､そらが連れてきた場所は水族館。

ガラスの中にある水に反射する光が眩しすぎて、

けれど綺麗すぎて。

そして、先程のように曖昧。

いつもなら｢それ褒めてんの？w｣と少しは絡む。

けど今は違う。

空いてしまった空白の一週間と思い出すあの時の記憶。

空いてしまった一週間は私が思うよりも重く、

思い出す記憶達は私が思うよりも辛い。

だからこそ、前のようになんて接することが出来なくて。

そしてそれが申し訳なくて。

｢花梨｡｣

不意に呼ばれた名前。

それは静かな空間に､耳に響いた。

見つめ合う時間。

ほんの数秒だと言うのにとても長く感じる。

そらはいつものように優しく微笑み、

｢次あっち行こ｣

そう言って私の手を優しく引いた。

久しぶりに触れたそらの手。

久しぶりに伝うそらの温度。

全てが゛久しぶり゛過ぎて懐かしい。

｢ほら、ついた｣

引かれてついた場所は目に飛び込んだ瞬間、目に焼き付いた気がした。

｢綺麗…｣

そこに広がっていたのは水槽の中に輝くイルミネーション｡

水槽の中の水に反射するライト。

その中で游ぐ魚達。

赤､青、黄､緑｡

どのライトも綺麗だった。

｢夏にイルミネーションとか珍しいけど、まぁ綺麗だから許して？｣

少し屈み、顔を覗いてくるそら。

いつも通りに見える、

けれどどこか不自然で。

空白の一週間と思い出す記憶を感じていたのは、

私だけではなかった。

｢……バカ…｣

他にもっといい言葉があったではないか。

もっと他の言葉を言えばよかったのに。

心の中ではそう考えても不思議と後悔はしてなくて。

これが゛前の関係゛の会話だと思うから。

｢バカと言うより…ヒゲ？｣

｢こんないい雰囲気の時にもヒゲネタいじんのかよww｣

｢こんないい雰囲気の時くらいヒゲそってきたら？｣

｢これでも剃ってきたんだよ！w｣

前のような会話。

前のような仕草。

前のような位置。

前のような雰囲気｡

前に戻ったと同時に心の針は後ろに進んだ気がした。