【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ42)

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第38話ページ42

｢…んん…｣

目を覚ますと、見慣れた風景が視界に飛び込んできた。

昨日あの後…どうやってここに帰ってきたっけ。

思い出そうとしても、無意識に心が邪魔をする。

でも、それは忘れたわけじゃない。

人の記憶は他人の都合がいいように出来ている。

良い記憶は簡単に塗り替えることが出来ていて､すぐに消えてしまう。

悪い記憶は簡単には消えなくて､脳内にこびり付いて、目に焼き付いている｡

焼き付いて離れないということは、昨日のことは私にとって゛悪い記憶゛なんだろう。

けれその゛悪い記憶゛でさえもいずれは消える。

消える前は早く消えることを祈っていても、

いざ消えるとその穴はなかなか塞がらない。

そしてまた゛悪い記憶゛を求める。

私だってそうだ。

出会って､気づいて、逃げて、忘れて、消して。

それを繰り返して､

繰り返して、

繰り返して､

最後に後悔するんだ。

ｳﾞｰｳﾞｰ

震えるスマフォ｡

触れるとそれは氷のように冷たくて、暖かさを求めるように自然とそらを思い出す。

そらの優しさを求めれば求めるほど、

そらが傷つくことは分かってるいる。

私が上に浮かべば浮かぶほど、

そらは下に沈んでいく。

けどそれさえもそらは笑って受け入れるから、

次、次と私はそれを求める。

繋いだ手から伝わる温度を求めて強く握るように。

深い海に酸素を求めるように。

傷つけると分かっているのに求めるなんて、どうやら私は性格が悪いようだ。

LINEを開くと、一通のメッセージが来ていた。

そら昨日はごめん。昨日のことは忘れて。

忘れられるならもう忘れてる。

消すことが出来るならもう消している。

それが出来ないから私は孤独に暗闇をさまよっているんだ。

何を返せばいいのか分からなくなって､スマフォの電源を落とした。

布団の中に潜ってまた優しさを求めた。

優しさを求めると､一時的に開放される。

その解放を求めて、また何度でも求め続けるだろう。

けど解放されても、忘れられないのなら

゛求めることに意味は無い゛

分かってるのに。

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わけがわからないよ( ´･ω･`)