【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ41)

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第37話 said eiji ページ41

伝えてしまった。

伝えないと決めていたはずなのに。

心の中にしまっておくと決めていたはずなのに。

花梨の姿を見るとその気持ちは増していく。

゛好き゛は減るどころかどんどん増えていく｡

゛好き゛は止まるどころかどんどん進んでいく。

好きだからこそ

この気持ちをなかったことには出来なくて。

好きだからこそ

終わらせることなんてできなくて。

好きだからこそ

止めることなんてできなくて。

好きだからこそ

包み隠さず、この想いを伝えたくて。

好きだからこそ

大好きだからこそ

理解して欲しい。

本当は花梨の気持ちもわかっていた。

俺の気持ちに気づいていて、

でも逃げてるってことを。

今の関係を壊したくないことを。

全部気づいた上で、あえてもう1度気づかせた。

俺だけを見ていて欲しくて。

周りなんて見ないで欲しくて。

今の関係が壊れてもいいから、

俺だけを見ててよ。

｢えいちゃん｡｣

不意に呼ばれたあだ名。

振り返ると幼稚園からずっとそばに居た幼馴染がいた。

｢なに？｣

｢えいちゃんさ。花梨に告白したでしょ？｣

予想していなかった言葉。

けど、乱れない。

驚かない。

そらも告白したってことを察したから。

｢したよ。｣

改めて目を合わせると､その顔はいつになく真剣だった。

｢負ける気ないから｡｣

その言葉だけ告げたそらはリビングへ歩いていった。

まだ余韻が残る部屋の中､割れた花瓶が月に照らされた。

｢…俺だって負けねぇよ……｣

会ったのはどっちが先とか､

印象とか､

出会ってからの期間とか関係ない。

負い越せばいいだけの話だから。

夜月に照らされて輝くガラスが何故か今は愛おしくて仕方がなかった。