【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ32)

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第29話ページ32

「俺枝豆食べたい！」

「祭りに来てまで枝豆食うのかよww」

ツリメ君は人を避けながら枝豆が売ってある場所へ向かった。

そんなツリメ君をりっくんが追った。

残されたのは私とえいちゃんとそら。

「花火何時からだっけ？」

「８時じゃなかった？」

「それまでなんか買ってベンチで待ってよっか。」

食べる物を買う為に私達は人を避けて前へ進んだ。

時々周りの人と目が合う。

あ、忘れてた。

えいちゃんとそらはアバンティーズで顔出しもしてる。

けど私はまだ顔出ししてないから、アバンティーズのリスナーさんからみたら「誰？」って思うかもしれない。

「あの、アバンティーズのそらちぃ君とエイジ君ですか？」

後ろから女の子3人組が声をかけて来た。

そらとえいちゃんはその女の子達と写真撮ったり握手していた。

顔出ししてると大変なんだろうなぁ。

その女の子達と2人は写真撮ったりしてて少し盛り上がっていた。

なんか置いていかれた気分…。

しばらくして女の子達は違う場所に行った。

「寂しかった？」

「別に～。」

「何、花梨。拗ねてんの？」

「拗ねてませんー」

本当は拗ねてるし、寂しかったけど。

本音をわざと隠すのは悪い癖なのかもしれない。

空いているベンチを見つけ、私達はそこで花火を待つことにした。

「俺、ツリメとりっくん探してくるわ。」

「じゃなんか買ってくる。花梨はここで待ってて。」

「うん。」

ベンチに座り、2人の帰りを待つ。

夜風が浴衣をすり抜けて肌を通り過ぎていく。

それが少し肌寒かった。

何か着てくれよかったなぁ。

風に靡く髪が視界をよぎる。

そのせいで月が一瞬見えなくなった。

三日月と逆の形の月。

あぁ。

月が綺麗だ。

「ねぇ、今1人？」

サングラスをかけた男性が話しかけてくる。

暗くてよく見えないけど髪は赤とピンクの中間みたいな色だった。

声は男性的な声でなぜか聞き覚えがあった。

隣に座ったその男性の横顔はどこか幼くて、私の知り合いを連想させた。

もしかして…。

「…サグワ君？」

「……え、花梨？」

サングラスを外した顔は、サグワ君まんまだった。