【エイジ】赤色に染まる【アバンティーズ】 (ページ31)

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第28話ページ31

｢花梨､入ってもいい？｣

扉の外から聞こえたのはこの部屋の主の声｡

私は一言｢いいよ｣と言った。

ガチャっと言う扉が開く音が耳には響くとともに、赤い髪が視界に映った。

｢どうかな？夏メイクして見たんだけど…｡｣

感想を求めるとえいちゃんは斜め下を見ながら

｢いいんじゃない｣

と言った。

素っ気なかったけどえいちゃんらしくて嬉しくなった。

えいちゃんの顔が赤くなってるのはきっと髪色のせいだ。

うん、きっとそう。

｢えいちゃんだけ見んのずるい！俺も見たい！」

えいちゃんと扉の隙間から聞こえて来たのはそらの声だった。

隙間から少し見える髪は珍しくセットされていた。

「はいはい、どうせ後で見るでしょ。りっくん車で待ってんだから行くよ。」

「えー！」と声を上げるそらの背中を押し、玄関へ向かうえいちゃん。

私もえいちゃんに続いて、玄関に向かった。

下駄を履いている時、家の中には私とえいちゃんしかいなかった。

そらとツリメ君はもう駐車場行ったのかな。

「歩ける？」

「歩けます～ww」

けど1人で立つのは結構大変で。

帯はきついし、下駄は不安定だし。

そんな私の心を読んだのか、えいちゃんは手を差し出した。

「ありがと」

手を掴んだから、案外簡単に立ち上がることができた。

駐車場へ向かうと、見慣れた車が止まっていた。

運転席にはりっくん、後部座席にはツリメ君とそら。

「もーエイジ君遅い」

「なんで俺だけw」

「花梨ちゃんめっちゃ可愛いじゃん！」

「花梨ってこんな可愛かったっけ…。メイクって怖ぇ！」

「ごめんねりっくん！メイクに時間かかっちゃって…。ツリメ君ありがと！ツリメ君もかっこいいよ！……そらは…あれ、ヒゲ無い。剃った？」

「ファンデで隠したんだよ！」

あれだけ濃かったヒゲを隠せるなんて…。

メイク怖…。

なんやかんや話していると、車は発車されていた。

会場は意外と近場。

だからすぐついた。

まだ4時だというのに、会場はどこを見ても人、人、人。

人酔いしそう…。

「花梨大丈夫？人酔いしない？」

隣で歩いていたそらが顔を覗き込んで来た。

そらと人が沢山いる所に出かけると必ず心配して来る。

今更だけどそらの優しさに気付いた時だった。