もうすぐクリスマス ページ10
早起きして勉強しに行くのがAの日課だった。
進級試験が近付いてきている今、努力家のハーマイオニーに負けないために首席を目指してクリスマスが来よう何だろうと図書館に入り浸っていた。
「わぁ、綺麗……」
一面の銀世界だ。ちらちらと舞い落ちる白雪にAは思わず心を奪われてしまう。
真っ白な雪は手のひらに落ちて、溶ける。その様子を残念に思って、Aはまた歩き出す。
「──誰だ？！ こんな時間に出歩いて……！」
怒鳴り声に振り向くとホグワーツの管理人フィルチが立っていた。フィルチの恐ろしい形相に対してAはにっこりする。
「おはようございます、フィルチ先生」
「あ、ぁ……おはよう。ヴィトグレーデ」
毒を抜かれたようにフィルチは柔らかい表情になる。僅かに口許を緩ませたフィルチの足元にいる彼の愛猫ミセス・ノリスにAは挨拶代わりに撫でた。
「今日も可愛いですね、ミセス・ノリスは」
「そうだろう？」
「えぇ。とっても」
花咲く笑顔にフィルチは弱かった。
理不尽で厄介な管理人と嫌われ、その生徒を邪険に扱ってきたフィルチにとってAのような生徒は一生徒に収まらないほど特別な存在になっていた。
と、言うのも少しだけ彼女と話すのが楽しみになるくらい心も許していたのだから。
フィルチに笑顔を見せ、生徒に憎まれるミセス・ノリスを可愛がるのだから。
「朝早くから勉強か？ 毎日偉いな、ヴィトグレーデは」
「それを言うならご立派なのはフィルチ先生ですよ。毎日一人でホグワーツと私たち生徒の安全を守っているでしょう？」
その言葉にフィルチは目を瞠る。Aは、いつもありがとうございます、と微笑んだ。
「……頑張れよ。ヴィトグレーデならきっと一位を取れるさ」
「はい、期待に応えられるように頑張りますね」
図書館に向かうAの後ろ姿を見送って、フィルチはAが離れたことで寂しげに、にゃあん、と一鳴きしたミセス・ノリスを持ち上げ抱き締めた。
・
「かわいそうに」
ドラコはハリーたちを見ながらおもむろに言った。
「クリスマス休暇に、ホグワーツに残る生徒は悲しいね…だって、“家で必要とされていない”ということだから」
「あらそう。でもかわいそうなのはあなたの方だと思うわよ、マルフォイ」
なんだって？とドラコは振り返った。
「人に自慢出来るほどの裕福な家に生まれ育ったって教養も無ければ恥を晒して生きているようなものじゃない」
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
