白熱のクィディッチ ページ6
「誰かが呪いをかけているんだ、あれは単なる箒の暴走じゃない。落ちたら怪我程度で収まらない、もしかしたら……」
と、途切れたセオドールの言葉にAは息を呑んで観客席をじっと見回し、犯人を探す。
「殺す気だ、ポッターを」
───生徒じゃない、あんな箒を操るなんていう闇の魔法、かけられるなら教師しかいない。
「一体誰が、」
そのとき、黒ずくめの男が目に付いた。ハリーを一心不乱に見つめて、ブツブツと何かを呟いている。
「セブルス・スネイプ……！」
歯を食いしばる。彼の罰則もとい個人授業と名が変わり時間は続いていたこともあり、少し最初よりは理解したつもりだった。
嫌味を言うだけに収まっていると思ったのに、ハリーが嫌いだからって殺そうとまでするなんて！
「A、どこに行くの！？」
「二人はそこにいて！」
Aは勢いよく席を立ち上がり人混みを掻き分けスネイプたち教師陣がいるスタンドへ向かおうとしたとき、背後で一際大きな悲鳴が上がって驚いて思わず振り返る。
「ハリー！！」
片手だけで箒に捕まり宙ぶらりんとなったハリーがそこにいる。それを見て衝動的にスネイプに向かって杖を振り上げようとしたとき、紫が目に入った。
「クィレル先生……？」
スネイプから少し離れた所に、紫のターバンを被ったクィレルが座っている。
瞬きひとつしていない。一心不乱に途切れることなく何かを唱えていた。
「、A！！」
「ハーマイオニー、あなたも気付いたの？！」
クィレルが、と続いた声はハーマイオニーの声によって掻き消された。
「えぇ！ あのスネイプがハリーに呪文をかけてたなんて許せないわ！ 懲らしめてやるわ！！ 私に任せて！」
「違、」
Aの声も聞かずハーマイオニーは目を輝かせると全速力で駆け出していく。後を追うもハーマイオニーは既にスネイプの服の裾に呪文をかけていた。
「きゃあ！！ せ、せんせ、も、燃え……、燃えてますよ！！」
誰かの一言で会場は大混乱となる。それにスネイプは慌てて立ち上がり、己のローブを踏みつけ始めた。あのスネイプの有り得ない様子にクィレルもポカンとする。おかげでハリーは無事、箒に跨れるようになっていた。
「ねぇ見た？ スネイプの呪いを阻止してきたわ！」
大混乱となっている人混みからハーマイオニーは風のようにすぐに戻ってくると、澄まし顔を崩して得意げにふふんと笑う。その微笑みにAも胸を撫で下ろして頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
