栄光の寮杯を巡って ページ38
徐々にネビルたちを讃える拍手が広がっていき、ネビルは皆に抱き着かれて姿が見えなくなった。ハッフルパフとレイブンクローからも悔しそうな声が一部聞こえたもの、じわじわとグリフィンドール、そしてスリザリンの健闘を称える拍手の音が大きくなる。
教師席ではスネイプが見たことも無いようなホクホク笑顔で、苦虫を噛み潰したような顔のマクゴナガルと握手をしている。
嫌われ者であったハリーたちは再び人気者に返り咲いていた。その様子に安堵しつつ、単純な彼らに呆れも抱きつつAはゆったりと微笑んだ。
「くっそ！ 見てろよ、来年こそはグリフィンドールが勝つからな！」
「勝手にほざいてろ、このまま来年もスリザリンの八連勝だ！」
後ろではもう既にウッドとフリントのクィディッチキャプテン同士で煽り合っている。今日ばかりは教師たちも止めることなく、便乗して周りの生徒がブーイングし野次を飛ばす。
それを横に今年卒業のスリザリンの七年生たちはほっと安堵したように抱き締め合って、落胆するグリフィンドールの七年生たちと苦い顔だが握手を交わし互いを認め合っている。
奇跡は、そう簡単に起こらないからこそ、尊いものだとAは思った。血の滲む努力をしても、犠牲を払っても、世界は自分の思うように動いてはくれない。けれども、足掻くことは必ずしも無駄にはならない。何よりの自分の価値となる。
「A・ヴィトグレーデは本物の勝利の女神だ！！」
ザビニを初めとしたスリザリンの男子に胴上げされ、ダフネを初めとしたスリザリンの女子にキスされ抱き締められ、揉みくちゃにされ、そして、やっと解放され降り立ったところでドラコ・マルフォイがいた。
「……何か言うことは無いかしら？」
「スリザリンが勝つのは当然だ」
「途中まで逃すかもーってベソかいてたくせに」
なっ、と赤くなるドラコにAはくすくす笑う。
A・ヴィトグレーデがドラコ・マルフォイに笑った──と二人のことを何一つ知らない生徒たちは目を疑い、静かになる。
「マルフォイ、一年間お疲れ様」
「君も、……ありがとう」
「ええ、あなたと一緒の寮で楽しかったわ」
辛うじて、今回スリザリンは逃げ切ることが出来たが得点差は僅か十点。そもそもハリーたちのマイナス百五十点事件が無ければグリフィンドールは寮杯を逃すことは無かった。
だから。
「来年はもっと頑張りましょ」
その言葉に全生徒が拳を宙に突き上げた。
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
