栄光の寮杯を巡って ページ37
「次にハーマイオニー・グレンジャー嬢。炎に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに五十点を与える」
ハーマイオニーは腕に顔を埋めた。グリフィンドールは一気に百点も増えたことに、我を忘れて狂喜している。
「三番目は、ハリー・ポッターくん。その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに六十点を与える」
それはそれは、耳をつんざく大騒音。マーカス・フリントを初めとした同寮生たちが頭を抱え、悲鳴を上げている姿にAは苦笑を漏らす。見事、寮杯は引き分けだったが再びダンブルドアが手を上げると、広間の中が少しずつ静かになっていく。
「だが、勇気も様々じゃ」
ダンブルドアは微笑んだ。彼の煌めく青い瞳がAを見た気がした。
「敵に立ち向かんと熱く燃える心を冷静な頭脳で陰ながら支え、敵を見極め、時に道を分かつこととなっても、友を守ろうと行動することはとても勇気のいることじゃ」
広間が水を打ったように静まり返る。
「そこで、A・ヴィトグレーデ嬢に四十点を与えたい」
大広間の外に誰かいたら爆発が起こった、と思ったかもしれない。それほど大きな歓声が沸き上がる。
ドラコがガッツポーズを決め、クラッブとゴイルは吠え、ダフネたちは椅子から飛び上がった。Aはダフネと椅子の上で飛び跳ねながら抱き合った直後、感涙のあまりタックルしてきたミリセントに押し潰される。
「流石、勝利の女神さまだね」
「どうも」
セオドールは眩しそうにその優しい黒瞳で見上げて、私の手を取ると口付けを落とした。ボッと赤くなるAを見てダフネはくすくすと笑うセオドールに飛びかかろうとするところをミリセントに羽交い締めで止められている。
「コホン、コホン」
恐怖の咳払い。もう結果がどうなるか全く未来が見えない。ダンブルドアを恐怖に怯えるように見つめるが、スリザリン以外は期待の眼差しを向けた。
「敵に向かって行くのと同じように、味方の友人に立ち向かうことにも多大な勇気がいる。よって最後に、グリフィンドールのネビル・ロングボトムくんに三十点をあげたい」
一瞬の沈黙と静寂―――そして少しの間を置き、再び無事に勝ち逃げて七年連続優勝を達成したスリザリンは狂喜の雄叫びが響く。
あと一歩と届かず寮杯を逃し準優勝となったグリフィンドールからは堪らなく悔しそうな悲鳴と失望の呻きが漏れていたが、長く続かなかった。
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
