白き令嬢の物思い ページ29
「そんなに驚くなんて……怖がりだって話、本当だったのね」
「なっ──僕は怖がりなんかじゃない！」
「ふぅん？」
猫のように艶やかに細められた雪空の瞳にドラコはドキッと固まるが次の瞬間、厳しい言葉が耳に飛び込んできた。
「人を隙あらば貶めようとしてるから、こういう面倒になるの。言ったじゃない、あなたが馬鹿らしいって……今度はユニコーンの血を飲む男を目撃するだけじゃ済まないわ。これに懲りたら反省するべきね」
ドラコの曇天の瞳を覗き込むようにそう念を押す。苦言を呈すAの気持ちは上手くドラコには伝わらなかった。
それはそうだ、ついこないだまでいがみ合いこうして話すことも視界に映すことすらなかった。嫌味に聞こえて当然だ、と青白い頬が赤くなる様を見てAは冷静に思う。
「き、禁じられた森なんかに行かせるからだ！ あの犬は使いものにならなかったし、森番などと言っているが──あのハグリッドなんて笑いたくなるくらい無能だった！ 父上に言ったらあんな取り柄の無いウスノロなんか、すぐク──」
ドラコは目の前にいるAを見て戸惑った。長いまつ毛が憂い揺れうる銀鉱石の瞳をドラコから拒絶するように覆い隠す。
「な、なんだよ、その目は……」
「……あなたって、本当にそれだけよね」
は、とドラコは瞠目した。
「……あなた自身の話が聞きたい」
ぽつり、と薔薇の花弁のような唇から零された言葉に。早鐘を打つ心に急かされるようにドラコは慌てて腕を掴んで引き寄せた。
「マルフォイ、」
だ、だって彼女は純血で、“純なる白き王”と名高いヴィトグレーデの姫で、スリザリンで、なのにポッターたちの友達で──純血主義のドラコとは根本的に違う。絶対に相容れない。
血を裏切る者だなんて──マグル生まれよりもっと質が悪いとドラコの母ナルシッサはよく言ったのに。
「…………僕の話が聞きたいだなんて、僕のことを嫌いじゃぁなかったのか？ 気でも狂ったのか？」
いつものようにAを嘲笑った。意地が悪くて皮肉屋ですぐ人を見下す、Aが大嫌いなドラコ・マルフォイなのに──Aはゆったりと薄く微笑んだ。
「そうかもね。私おかしいみたい」
──あなたと仲良くなりたいってここで思うなんて。
胸が跳ねた。けれど僕も、だなんて言うことが出来なかった。言ってしまえば全てが崩れる気がした──それは家族を裏切るのも同然だからだ。
過ぎていく背中をドラコは眩しく見つめた。
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
