君の声が一番の応援 ページ22
大広間へ向かっていると、前に歩いていた蝙蝠のような後ろ姿にAは駆け寄った。
「審判になられると聞きました」
「いかにも……なんだね、グリフィンドールを優遇しろとでも言うのかね？」
どろりとした黒い瞳がこちらを向く。Aは厳しい眼差しに肩を竦めた。
「いいえ私は公平なジャッチメントを心がけて欲しいだけです。さもないと今度は教授のローブが燃やされるだけでは済まされなれないと思ったので」
ハーマイオニーが杖を持って飛んでくるのは容易に想像出来た。
「フン、教師に脅しとはいい度胸だ。流石は天下のヴィトグレーデと言ったところかな」
嫌味を言われても平気だった。それよりもこのスネイプがハーマイオニーにコテンパンにされている姿を頭の中で思い浮かべて少し笑ってしまう。
何を笑っているのかね、と咎められるがAはスネイプの横を優雅に通り過ぎた。
・
そして待ちに待った試合当日。早朝。Aはいつも早起きだが、より早起きしてしまう。グリフィンドールの試合の日は他寮であるのに自分のことのように緊張してしまって眠れないのだ。
まだ眠っている彼女たちを起こさないようにして、ローブに袖を通す。
──「A？」
スリザリン寮を出て大広間に向かっているとクィディッチの選手の面々と鉢合わせた。その中からセドリックが緊張気味な顔で駆け寄ってくる。
「A、おはよう。いつも朝は早いの？」
「えぇ……それもあるのだけれど、眠れなかったの」
選手でもないのに緊張しちゃって、とAは苦笑を溢す。
今日はグリフィンドールとハッフルパフの試合だ。どちらも譲れない戦いになる。それもあってかセドリックは少し元気がなさそうに見えた。
「……どうしたの？ A」
セドリックは自分を見ると難しい顔で黙り込むAを覗き込むように屈んだ。
自分よりも小さな彼女の顔を見上げるのは新鮮で──こんなにも近くで目に映る彼女はとても美しかった。髪色にけぶるような白んだ睫毛が瞬きの度に揺れている。
「何かあった？」
「……って、」
え？ セドリックは目を瞠る。
──「がんばって、セドリック」
紅い唇がぽつりと呟く。
「なんて……？」
「頑張ってね、セドリック。私、あなたのことも応援してるわ。あなたを励まそうとしてもこれしか言葉が思い浮かばなくて」
申し訳なさそうに眉を下げるAにセドリックは頬を染めて柔らかく笑った。
「……ううん。十分だよ、A」
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
