もうすぐクリスマス ページ11
小さく笑うと、Aはドラコの横を通り過ぎてハリーたちと挨拶を交わす。
ドラコとその取り巻きが大声で悪口を言っても、Aがドラコに目を向けることはなかった。Aに無視されることは、ドラコにとってやはり気にくわない事実だった。
「あんな奴、気にすること無いわ。怒るだけ無駄よ」
「確かにそうかも……ありがとう、A」
Aとドラコは表向きは何ら変わりなかった。ドラコがハリーたちや他寮生に突っかかればAは返り討ちにした。
でも、二人だけになると棘々しさが嘘のように雰囲気が柔らかくなるのだ。それは誰も知り得ない二人だけの秘密の時間だった。
ドラコはなぜかそれを誰にも知られたくなかった。
・
「じゃあ、また休暇後に。良いクリスマスを！」
「ええ。またね、ハーマイオニー、ダフネ。良いクリスマスを」
キングズクロス駅、9と3/4番線に到着したホグワーツ特急から降りると、早速両親を見つけたハーマイオニー、ダフネと別れ、Aとセオドールも家族を探す。
「クリスマス、手紙を送ってもいいかな……」
セオドールの言葉にAは、ぱぁ、と目を輝かせた。
「もちろんよ！ 楽しみにしてるわ！ 私も送る！」
寒さに鼻先を赤く染めて花のように笑うAはセオドールの目に眩しく映った。
「A！」
人混みの向こうから、Aの名前を呼ぶ声がした。Aにとって聞き慣れた声だ。
満面の笑顔で手を振る姿に、Aはくすりと笑いが溢れる。
「お父様！ じゃあまた休暇後にね、良いクリスマスを！」
駆け寄っていった先にいた男──Aの父親ともあって、イーサ・ヴィトグレーデは恐ろしくハンサムであった。遺伝子を感じてセオドールは苦笑いする。
イーサが会釈してくるのにセオドールは紳士然と一礼をして踵を返した。
「……、」
手を繋ぎ歩き出す親子の後ろ姿をもう一度振り返って見る。
幸せそうなAの姿に鼓動を打つ。
Aに対して友情以上の感情がセオドールの心の中にはもう既に芽を出し成長していたが、それをAに告げることはなかった。
彼女は友達のセオドールを望んでいると理解していたからだ。
届かないとわかっていても、セオドールにとって彼女は手の届かないからこそ守るべき存在になっていた。
それは、セオドールにとって出会ったときからずっとAはセオドールの暗い世界を照らす光であり道標だからかもしれない。
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
