魔法学校の冬 ページ2
青ざめた顔のAと呆然とするドラコの間を、生徒たちの視線が行き交った。
あろうことか、余ったのはこの二人だった。この二人が必然的にペアになってしまったのだ。異様な雰囲気に教室中が息を呑んでいると、
「……、」
意を決してAはグッと下唇を強く噛んで席を立った。
そしてドラコの隣に移動すると机の上に教科書をダァンッ！と音を立てて置く。大きく激しい音にドラコを含めた全員が震え上がった。
A・ヴィトグレーデが怒っている……とドラコに同情の視線を送る中、スネイプが挑発するように鼻で笑った。
「ヴィトグレーデ、何か文句でも？ 貴様のためにペアを組み直せと言うのか」
「……いいえ、問題ありません」
怒りを噛み殺したような声だ。
「制限時間は一時間、手順は書いてある通りだ。始めろ」
・
「──待て。手順を間違えているぞ」
皆が真剣に調合を進める中、本来ならば静かであるはずの教室ではAとドラコの声が響き渡っていた。
「可哀想に……、あなたって文字も読めないのね？」
その言葉にプッとハリーとロンを含めたグリフィンドール生が吹き出した。……グリフィンドール十点減点、とスネイプの唸り声が聞こえる。
「はぐれ者のヴィトグレーデのくせにこの僕を馬鹿にするな。あっ！ おい、まず時計回りに……」
「あぁもう、さっきからうるさいわね！ それはもうしたのよ！ いちいち教えるのも面倒だから余計なことはしないで大人しくしててくださるかしら！？」
「出しゃばるな！ それは僕の魔法薬でもあるんだぞ、お前が失敗したら一体どう責任を取るんだ！」
ビチバチと火花が散らせる二人に忍び寄る影があった。
「──粛に。厳格なる調合の折に騒ぎ立てるでない」
しかしそうは言っても怒りで青筋を立てた土気色の顔を見ることは無く、Aとドラコはまだ互いを睨み合っていた。
「ほら静かにしなさいよ、マルフォイ」
「君に言われたくない！」
と言いつつ、Aとドラコは口論をしながらも終えた調合は文句がつけられないほどに完璧だった。
スネイプは手本として一番相応しい魔法薬を手に取ると、仕方が無さそうに、スリザリンに五点と呟いた。
彼がスリザリンに加点するのを渋ったのはこれが初めてであった。
A・ヴィトグレーデとドラコ・マルフォイの掛け合いは至極、痛快であったが皆引っかかるところがあった。
あの二人は口論する程に仲が良かったか、と。
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つき(プロフ) - くらげさん» 楽しんでもらえてとっても嬉しいです！！優勝杯のシーン、共感して貰えて何よりです……スリザリン強火オタクの叫びを受け止めてくれてありがとうございます！！ 性格がキツめな夢主ちゃんのことを好きだとは……感謝です！ ドラコとの絡み、私も楽しみです〜 (10月15日 13時) (
レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - くらげさん» コメントありがとうございますっ！書籍化希望だなんて嬉しいです〜これからも楽しんで読んでもられるように頑張って続き書いて行きますね〜！ (10月15日 13時) (レス) id: cbccae9c94 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 真剣に書籍化希望です笑 素敵な作品をありがとうございます。これから続き、読みに行って参ります！ (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 随所笑えるシーンがあって、とても楽しかったです。優勝杯のシーン、かわいそうだな…と思っていたので納得です！主人公ちゃんがとても好きで、ドラコとの絡みがますます楽しみです。 (10月15日 5時) (レス) id: 354ea7a522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月24日 11時
