狂犬と事故チュー【今日から俺は！！】 (ページ32)

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＿② ページ32

相良サイド

その日開久の校門前に妙な紙が貼り付けられてた。

【片桐の女は預かった。返して欲しければ町外れの廃工場に来い】

智司は組に呼ばれて居ない。こんな事をするのは俺らに恨みのある奴だけ。そんなの山ほどいて誰かはわかんねぇ。だけど、女とは誰のことを示しているのかはすぐにわかった。

俺はすぐにその廃工場に下っ端を引き連れて向かった。

鈴木に合わせる顔なんてねェのに、あいつも逢いたくてないって思ってるはずだ。でも、足は止まらない。

『隠してたけどよ…あいつが好きなのはお前だよ相良』

昨日智司を問い詰めて聞いた言葉が頭の中で再生される。

『お前の好みの女になって、告白するつもりらしいぜ』

『その為にわざわざ此処に来て俺からお前のこと聞いてたんだよ』

「くっそ…！なんであんなことやっちまったんだよ俺は…！！」

今更後悔しても遅いことぐらいわかってる。取り返しのつかないことやったことも。…もしかしたら完全に嫌われてるかもしれねェ。俺への好意なんてないかもしれねェ。

それでもあいつにもう一度逢って謝りたい。

あの時怖がらせたこと、巻き込んだこと。

謝っても許してもらえないかもしれねェけど、俺の気持ちを伝えたい。

素直になれずにずっと隠してたこの気持ちを。

「だから…まだくたばるんじゃねェぞ！！」

＊

廃工場に着いて、鈴木の姿が見えた時ほっとした。

でもすぐにそんな気持ちは消し飛んだ。

後ろの男に気づかずに倒れてた鈴木。

頭からは赤い液体が流れ出す。

その時自分の中で何かが切れる音がした。

数でこそ互角だが、戦力は桁違い。馬鹿どもが地面に突っ伏した時は救急車が着いていた。運ばれる鈴木の姿。

何も出来なくて見つめることしかできなかった。