狂犬と事故チュー【今日から俺は！！】 (ページ31)

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＿終わりよければすべてよし…？ページ31

「……ん」

目を開けると見たこともない天井。家では無いことはすぐにわかった。

「…ここどこ？」

「ここはね病院」

「陽子…？」

「おはよう姉さん…でも、もう夜だけど」

横に座る陽子は微笑んだ。見る限り怪我はなさそう。よかった…陽子は無事だ。

そう言えばなんで病院？あ、そっか殴られて倒れたんだ。あの後どうなったんだ？

陽子は私の心中を察してか、お得意のエスパーかは分からないが、その後の事を話してくれた。

「姉さんが倒れたあと開久高校の人が助けてくれたの。特に相良さんって呼ばれる人凄かったよ」

「どの辺がすごかった…？」

「ほとんどあの人が倒してたんだ。そのあと救急車まで呼んでくれて…」

「まじか…見たかった」

もっと周りに目を向けるべきだったな。そしたらあんなへま踏まずに…相良と共闘とかできたかもしんねぇのに。てか、かっこよかったんだろうな。ほんと見たかった…。

「相良さんね謝ってたよ。“巻き込んで悪かった”って頭まで下げてくれて。姉さんのこと心配してたよ、すごく」

「ふーん…」

「姉さん…あの人見かけによらずいい人だね」

「……うん」

「……早く言わないと誰かに取られちゃうよ？」

ニヤニヤとからかう様に言ってくる妹に返事をする面倒で、それと同じくらい恥ずかしくなって小さく頷いて目を閉じた。

＊

次に目が覚めた時は日付が変わっていた。

念の為検査を受けたが幸い問題ないらし。だから昼過ぎに退院することになった。当分の間は頭に包帯巻かないといけないらしいけど。

病院から出て向かうのは開久。

もう覚悟は決まっている。

一日先延ばししたことを果たさなくてはならない。

伝えるんだ相良に。

自分の気持ちを素直に。

曲がり角を曲がった先に銀髪の後ろ姿が見えた。

深呼吸をして息を整えて…。

「さ、相良！」

すると彼はゆっくりとこっちらに振り向く。

さぁ鈴木Aの一世一代の大勝負だ。