28話 ３人で ページ29
〜千秋side〜
A「本当に、もう帰るの？」
千秋「あぁ。」
A「もう少し居てもよかったのに…………。」
千秋「でも、向き合わんといけないと思ってな。」
千春の命日の次の日、俺は家に帰ることにした。
ずっと、向き合ってきたようで目を逸らし続けて来た家族と向き合うためだ。
千秋「ただいま。」
その言葉に反応してくれる人なんて、やはり、居るわけ―――――
千秋母「千秋っ！！」
千秋「っ……………！」
居た。
母さんだ。
千秋「昨日帰らなくて―――」
千秋母「千秋っ！」
千秋「っ？！」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
でも、すぐに母さんが俺を抱きしめているのだと理解出来た。
千秋「か、母さんっ………………。」
千秋母「心配したんだからっ！千秋も、千春みたいに「帰ってこないん」じゃないかって！」
え………………………？
千秋「母さんも、父さんも、俺のこと、嫌いなんじゃ…………………。」
千秋父「そんな訳あるか。父さんも母さんも、まだ千春の死を乗り越えられなくて、現実を受け止められずに居た。」
いつの間にか、父さんまで玄関に来ていた。
千秋母「でも、父さんと昨日話し合ったの。「２年経ってるのにこのままじゃダメだって」、「このままだと千春にも怒られるし、何よりも千秋を苦しめる」って。」
千秋父「仕事ばかりで、お前のことを全く見てやれなくてごめんな。」
母さんの反対側から俺を抱きしめる父さん。
千秋母「これからは千秋のこと、ちゃんと見るから。ライブだって、可能な限り見に行くから。」
千秋父「また「３人」でやり直そう。」
「３人」。
それはつまり、千春の死を受け入れたこと。
また、昔みたいにとはいかないけど、家族としてやり直そうってこと。
千秋「父さんっ、母さんっ………………！」
それを理解した途端、涙が止まらなくなってしまった。
千秋父「泣くな、千秋。男だろう？」
千秋母「そうよ。かっこいい顔が台無しでしょ？」
久しぶりの家族の温かみに、自分が家族からどれだけ目を背けていたのか分かった。
昨日のことがなければ、俺は今日もまた家族や自分自身から目を背けていた。
皆のおかげで、ほんの少しだけ前に進めた。
ありがとう、皆。
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Fine(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございました……凄く感情移入しちゃって途中からずっと泣きながら読んでいました。頑張って乗り越えた千秋達にはもうずっと幸せに暮らしていってほしいです。本当にありがとうございました。 (2021年6月29日 23時) (
レス) id: f4f4fca585 (このIDを非表示/違反報告)
weasel(プロフ) - 最後の方とても感動して涙出てきました！ (2018年1月28日 0時) (レス) id: f640e5d017 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まこと | 作成日時：2017年10月12日 16時
