肆【不死川実弥】 ページ4
ぴん、と指を立てたしのぶの問いかけに 実弥は黙って眉をしかめる。
その様子から どうやら分かっていないらしいことを察したしのぶは立てていた指を炭治郎の頬に添えるとふにふにとしたその感触を楽しみ始めた。
「…おい。何すんだてめぇ。」
「あら。こんな事も分からない不死川さんに炭治郎くんのつるすべほっぺをふにふにする資格があるとでも思ってるんですか?…つまりですよ?五歳ということは…まだ、生きてるんです。炭治郎くんの家族は、みんな。お父さんは病死していませんし、お母さん達も殺されていません。ましてや、禰豆子さんが鬼になるなど夢にも思っていないでしょう。だから、貴方はあくまで預かり先のお兄さん。そうなるようにしてください。」
幼児化した炭治郎が元に戻った時。
この記憶は無くなるわけではない。
五歳の頃の出来事として記憶に残るのだ。
薄ぼんやりとはしていても、たしかに残ってしまう。
それは、あまりに記憶に残りすぎると元に戻った時の炭治郎に影響が出てしまうということを意味する。
それに気づいた実弥ははっと目を見開くと、静かに頷いた。
「はぁ。初日が不死川さんだなんて不安です。しっかり炭治郎くんのことを見ていてくださいね?」
「わかったぜぇ。…んじゃあ、行ってくるか。」
そう言って今度こそ蝶屋敷を出て行く不死川を見送ったしのぶは再びため息をつき、屋敷の中へ戻っていった。
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作者名:むい | 作成日時:2023年9月21日 16時