第93話 ページ46
三日月さんの胸を借り泣き続けた
三日月さんは私をずっと抱き締めてくれたり
背中を優しく撫でてくれた
特に声をかけてくるわけでもなく、ただ傍に居てくれた
それだけなのに、三日月さんが居ると落ち着く
優しい温もりに包まれていると眠気がやってきた
泣き疲れたのかな...
[はっはっは。眠いか。今はゆっくり休むといい]
『...はい』
泣き疲れて寝るだなんて子供みたいだな
恥ずかしい
でも、三日月さんになら見られてもいっか...
[ふむ...心を開いてくれているのは嬉しいが、俺も男なのだがな...]
目を覚ますと、まだ三日月さんは私を抱き締めてくれていた
[目が覚めたようだな]
『あ、あの、ずっと抱き締めてくれてたんですか?』
[あぁ]
『すみません』
[なに、謝ることないぞ]
『でも、ずっと同じ体制でしんどかったんじゃ...』
[俺が好きでやったことだ。そなたが気にすることない。それに...]
『それに?』
[腕の中に居るそなたが甘えてくれてるようでな、離したくなかった]
『...っ!』
[はっはっは。顔が赤いな]
『み、三日月さんになら、弱味を見せても良いかなっていうか...その...』
[うむ。存分に甘えると良い。そなたからのスキンシップは嬉しいぞ?]
『もう...』
嬉しそうに笑う三日月さんを見ていると、つられて私も笑った
不思議だ
三日月さんと居ると、ありのままの自分でいられるような気がする
『三日月さん...』
[なんだ?]
『私、三日月さんのことを受け入れたいです』
[受け入れるとは?]
『三日月さんの気持ち、真剣に考えたいと思っています』
[A...]
『三日月さんと一緒に居ると楽しくて、落ち着くんです』
[....]
『三日月さんを忘れたいからとか、代わりになってほしいとか、そういうのじゃなくて...その...三日月さんと一緒に居たいんです』
[...っ!]
『すみません。上手く言葉に出来なくて...』
[ならば、恋仲(仮)にしよう]
『仮、ですか?』
[急ぐ必要はない。俺はそなたの答えを待つつもりだ]
『三日月さん...』
[A、よろしく頼む]
『は、はい!こちらこそよろしくお願いします』
恋仲(仮)
私にまた新たな生活が始まる予感がする
「主。頼みがある」
「三日月が私に頼み事だなんて珍しいわね。なにかしら?」
「Aとの記憶を消してくれ」
「本当にいいの?次はないわよ」
「...あぁ」
「ふふ、あの子の悲しむ顔が目に浮かぶわ」
もう1つの本丸の状況も知らずに、私は浮かれていた
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年9月22日 20時