第87話 ページ40
私は三日月さんのことを栞さんに話した
私が唯一、話せる相手だ
「そう...そんなことが...」
『はい』
「私ね、謝らないといけないことがあるの」
『謝らないといけないこと？』
「私、Aちゃんの記憶のこと知ってたの」
『え？』
「本当にごめん！あの審神者に口封じされてたの。もし言ったら私の本丸を潰すって言われて...」
『そうだったんですか...』
「本当にごめんなさい！」
『謝らないで下さい。栞さんは何も悪くないから。それに、私が思い出さないと意味がない』
「...そうだね」
謝らないといけないのは私の方だ
三日月さんとのことで、栞さんにまで迷惑かけていた
審神者様の狙いが分かってきた
私に罪悪感を抱かせたいんだ
「それにしても、あの時は驚いたよ」
『あの時？』
「審神者の集いの時に近侍で三日月宗近を連れてきたでしょ？もしかして頭のどこかで何かを覚えてたのかなって」
『あれは近侍交代制で、たまたまその日が三日月さんだったんです』
「それと、恋仲だった三日月宗近との再会。あれは審神者が仕向けたことだと思う」
確かに、今思うとあの時から始まっていたのかもしれない
「でもさ、ぶっちゃけ何か思わなかったの？」
『え？』
「恋仲だった三日月宗近と過ごしたわけでしょ？」
『...何もなかったと言えば嘘になります』
「そうだよね。一度は愛し合っていた仲だもの。何もない方が可笑しいわ」
『でも、あってはならないことには変わらない』
「ところで、Aちゃんのところの三日月宗近はどうなの？」
『どうって？』
「何か進展あったりしないの？」
『...告白はされました』
「やっぱり！」
『やっぱりって、どういうことですか？』
「だって、昔の男だけの問題ならそんなに悩んだ顔しないわよ。同じ刀剣男士、ニ振りに好かれるだなんてね。好みが似るのかしら？」
『栞さん、面白がらないで下さい』
「ごめんごめん。でもさ、どちらを選ぶ選ばないにしろ、いつかは答えを出さないといけないわよ」
『それは分かってますけど...』
「私はAちゃんに幸せになってほしいと思ってる」
『栞さん...』
「Aちゃんの味方だから」
『...ありがとうございます』
「そういえば、噂に聞いたけど年末に政府が新年会するらしいわよ」
『新年会？』
「またあの審神者が何かを仕掛けてくるかもしれない」
『あっ...』
「気をつけておいた方が良いわよ」
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
