第85話 ページ38
疲れが溜まっていたのか、いつの間にか寝落ちしてしまっていた
まだ審神者様に叩かれた頬が痛む
まぁ、それはお互い様だろうけど...
「A、少し良いか？」
『三日月さん？どうして...』
「主は先に戻った」
『え？』
三日月さんを置いて先に本丸へ戻ったのか...
自分勝手な審神者だと思うが人のこと言えない
『三日月さんは、本丸へ戻らないんですか？』
「主に好きにしろと言われた」
『好きにしろとは？』
「このままお主の居る本丸で暮らすのも悪くないかもしれんな」
『何言って＿＿』
「そうすれば、これからもお主の傍に居られる」
『...っ！』
「お主を見ていると想いが募るばかりだ」
『三日月さん...』
「今、お主を手離すと後悔するだろう」
『でも、三日月さんの居場所は此処じゃありません』
「ならば、政府からの許可が降りれば、俺を此処に置いてくれるか？」
『しょ、正気ですか？』
「あぁ」
『どうしてそこまで...』
「お主を愛しているからだ」
『...っ！』
「やっと思い出せたのだ...お主を離したくない」
三日月さんは、言葉通りに離れることが出来ないぐらい強く抱き締めた
『三日月さん...』
「誰にも渡したくない。...そこに居る三日月宗近にもな」
『えっ...』
振り向くと三日月さんが立っていた
『み、三日月さん...』
[気付いていたか]
「あぁ」
[はっはっは。俺に見せつけるとは性格が悪いな]
『三日月さん、これは＿＿』
「Aは俺のおなごだからな」
『三日月さん、何言って！』
[ならば、挨拶ぐらいしてはどうだ？俺は主の刀だ]
『三日月さん、離して下さい』
「....」
渋々、離してくれたが三日月さんに見せる目は対抗心
[お主はAと恋仲であった。だが、今は違う。ならば、俺は遠慮しない]
「宣戦布告というやつか。受けて立とう。俺もお主にAを渡すつもりはない」
[....]
「用があって来たのだろう？俺は席を外そう。A、またな」
[邪魔をしたようだな]
『い、いえ。そんなこと...』
[俺はそなたが本丸へ行く前から、あの三日月宗近と恋仲であったことを知っていた]
『えっ！？』
[あの審神者が申してきた]
『どうして審神者様が三日月さんに！？』
[あの者は俺を初めて見た時から、そなたに好意があることに気付いていた。反応を面白がっていたのだろう]
私にだけじゃなく、三日月さんにまで嫌な思いをさせてたなんて...
いや、嫌な思いをさせてるのは私もだ
一緒だ
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
