第84話 ページ37
[そろそろ落ち着いてきたようだな]
『すみません』
[なに、俺はどんな形であれ、そなたと居れることは嬉しいぞ。なにせ、A不足だからな]
『三日月さん...』
[なんだ？]
『...本当、私最低ですよね』
[俺も最低だ]
『え？』
[今、傷付いて泣いているそなたを見て俺はこう思うている。泣き顔も愛らしい。そして、俺を頼ってくれたことを嬉しく感じている。頼った理由が例え昔の男と同じ刀剣男士だとしてもな]
『...っ！そんな理由じゃ！』
[分かっておる。例えの話だ。そなたがそういうおなごでないことは俺がよく知っている。俺は見てきた]
『三日月さん...』
[もう泣くでない。泣いているそなたも愛らしいが、やはり笑顔が似合う]
三日月さんが私の涙を指で拭いながら頭を撫でた
こんなに優しくされたら尚更...
『...優しくしないで下さい。私は優しくして貰えるような人間じゃないです』
[それは無理な話だな。好きなおなごには優しく接したいものだ]
『えっ...』
[その反応では、やはり気付いて居なかったな]
『あ、あの...』
[まだ、あの三日月宗近より、そなたのこと知らないこともあるだろう。だが、今は変わりでも良い。ただ、そなたの傍に居たいのだ]
『三日月さん...』
[Aよ。そなたが愛おしい...]
三日月さんの優しい言葉に救われる
こんな私でも受け入れてくれる三日月さんは
私にとって大切な存在だ
でも...
『同じ過ちを繰り返すわけにはいかないんです。刀剣男士と恋愛だなんて本当ならしてはいけない』
[それでも惹かれてしまったのだ...そなたなら分かるだろう？]
『...っ』
[昔を忘れろとは言わん。だが、そなたの目に写る三日月宗近は俺であってほしい]
『三日月さん...』
[今はゆっくり休むといい。ではな]
『あっ...』
私は、どうしたら良いんだろう
ニ振りの三日月さんの想いを、どう受け止めれば良いのか分からない
[居たのか。三日月宗近]
「あぁ。主が帰ったことを伝えようと思ってな」
[そうか]
「あまり、Aを困らせるな」
[困らせるか...。その言葉、そのまま返そう]
「....」
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
