第76話 ページ29
三日月さんから、とんでもないことを言われた
口吸いって昔でいうキスだよね？
『よ、酔いすぎですよ』
「すまない。これでも正気だ」
『ま、待って下さい！ここ、縁側ですよ！？』
「それもそうだな。俺の部屋に行くか」
『そ、そういう問題でもなくて！そ、その...心の準備が出来てないです』
「ならば、その心の準備とやらが出来れば良いのか？」
『そ、それは...』
「Aよ。俺は酒の勢いで言っているわけではない」
『え？』
「好きなおなごに触れたいと思うことは普通のことだ。出来ることなら、このまま俺だけのものにしたい」
『...っ！』
「A、愛している」
ドクン！
"「A、愛している」
『私も、愛しています』"
何、これ？
頭がガンガンする
今まで感じたことがない痛さだ
思い出そうとすると頭が痛くなっていた
だけど今までのとは違う
"『三日月さん...』
「A...」"
愛おしそうに名前を呼ぶ三日月さん
私も嬉しそうに笑っている
一体、何が起こっているの？
『...くっ！』
「A？どうした？」
『頭が...痛い』
バタンッ！
「A！」
目を覚ますと私は部屋に居た
隣には私の手を握りながら寝ている三日月さん
あの記憶は一体...
"「A、愛している」
『私も、愛しています』"
もしかして、私達...
「んっ...目が覚めたか？」
『三日月さん...私...』
「昨日の夜、急に頭を痛め倒れた」
『そうですか...』
「ほとんど1日眠っていたから心配したぞ」
『すみません...』
「顔色も大丈夫そうだな。皆も心配している。声をかけてこよう」
『ま、待って下さい！』
「どうした？」
『私と、三日月さんは...恋仲だったんですか？』
「...っ！思い出したのか？」
『全てじゃないですけど...急に頭が痛くなって、それで...』
「あぁ。そのようだな」
三日月さんは複雑そうな顔をしている
私のこの本丸での生活は今日で最後だ
そんな時に思い出すなんて...
「Aよ」
『は、はい！』
「それは昔の話だ。お主に今の俺を好きになって貰わなければ意味がない」
『三日月さん...』
「今、お主にとって俺は主の仕えている刀剣男士だと言っていたな？」
『はい』
「ならば、それがお主が出した答えだ」
『....』
「だが、俺は諦めてはいない。これからもお主を好きな気持ちは変わることはないだろう」
『...っ！』
「さて、この本丸での最後の夕飯になるな。広間へ行こう」
『...はい』
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
