第74話 ページ27
2日目が始まった
残された時間も僅かにすぎない
少しでも何かを思い出したい
の
私の為にも、三日月さんの為にも...
「また記憶のことを考えているのか?」
『え?』
「顔に出ているぞ」
『あっ...』
「記憶を思い出すことは、お主にとって大事なことかもしれん。だが、時には何もかも忘れてゆっくりしてはどうだ?」
『でも、私には時間が...』
「考えていても思い出せるとは限らん。ならば、自分のペースで良いではないか。眉間に皺を寄せていては愛らしい顔が勿体ないぞ」
『あ、あい!?』
「はっはっは」
『きゅ、急に何を言い出すんですか!』
「すまんすまん。ついな」
『もう...三日月さんは前も私に対してそんなこと言ってたんですか?』
「どうだろうな」
『誤魔化さないで下さい』
「Aよ。俺は"今"のお主を見ている。無理に昔の俺を思い出すことない」
『え?』
「お主が昔の俺を思い出すと意識は思い出の俺の方へ向くことになるだろう。ならば...お主は今の俺を見てれば良い。良いな?」
『は、はい...』
昨日、三日月さんにあんなこと言われて
全く気にならないわけじゃない
三日月さんが私に惹かれているだなんて信じられない
昔も今も惹かれる要素なんてないのに...
「ん?俺の顔を見てどうした?」
『へ?』
私、そんなに三日月さんの顔を見てたのかな
『す、すみません』
「なに、気にしておらんぞ。どんなことでも申してみるといい」
『い、いえ。大丈夫です』
自分で聞くのなんて恥ずかしすぎる
「落ち着きがないな」
『昨日あんなこと言われて落ち着いてられませんよ』
「ふむ...俺を意識している。そう受け取っても良いか?」
『...はい』
「はっはっは」
『ど、どうして笑うんですか!』
「想いを寄せている相手が俺のことを考えていることを嬉しく思うてな」
『う、嬉しい?』
「もっと意識してくれるよう、頑張らねばな」
な、何を頑張るの!?
2日目の報告を審神者様にした
変化なし
審神者様は何も言わなかった
あと残り1日か...
結局、何も思い出せていない
私はなんの為に此処に居るのだろう
「記憶は戻らずね...」
「主様」
「どうしたの?こんのすけ」
「何を見られているのですか?」
「これ?本丸に付けておいた隠しカメラで様子を見てるの」
「明日で終わりですけど、本当にこの本丸の刀剣男士と関わらなくて良いのですか?」
「この本丸のことはどうでもいいのよ。寧ろ、無くなればいいわ」
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年9月22日 20時