第50話 ページ2
見習い期間を得て、無事審神者となり半年を迎えていた
見習い期間での記憶は曖昧だ
仲良くなれた刀剣男士とのことも曖昧で寂しく感じる
そして、何より大事なことを忘れている気がする
だけど、思い出せない
半年を迎えたこの本丸に、たくさんの刀剣男士が顕現した
お世話になった審神者様と比べると、まだまだだが新人にしては上出来ならしい
初期刀は山姥切国広を選んだ
曖昧な記憶を思い出すと、最も関わっていない刀だったような気がしたから、あえて選んだ
最初は打ち解けなかったが、今では良い関係を築けている
近侍は交代制
人見知りだからと、話しやすいものを選んでいてはいけない
私は審神者なのだから
「主」
『どうしたの？山姥切』
「駿河という男から手紙だ」
『ありがとう』
駿河海斗との交際とは続いているものの進展はない
私は彼と交際をしているものの、未だに好意を抱いていない
こんな状態で付き合ってて良いのだろうか
「この男も懲りない。あんたは、この男をなんとも思っていないんだろう？」
『うん』
「いつまで関係を続けているつもりだ」
いつまでか...
この交際は見習い期間でお世話になった審神者様と政府の願いでもある
そう簡単に終わることは出来ないだろう
『まぁ、審神者との情報交換にもなるから良いと思うところもあるよ？』
「はぁ...」
嘘は言っていない
情報交換は大切だ
「その男、気に食わないな」
『駿河さん？』
「そいつはあんたに好意を抱いている。何をしでかすか分からない」
『考えすぎじゃない？』
「あんたは人が良すぎる」
『そ、そうかな？』
「山姥切はAを取られたくないんだよ」
『加州。いつの間に？』
「加州！な、何を言っている！俺は！」
「ま、俺も山姥切と同じ意見かな。さっさと振ってしまった方が良いんじゃない？...俺達もその方が安心出来るし」
『え？』
「何でもない」
なんだろ？
最後の方、聞き取れなかったな
「ところで今日の鍛刀はまだだったな」
『あっ！そうだったね！』
「そろそろ安定来てくれないかなー」
『待たせてごめんね。今は太刀を優先したくて』
「分かってるよ。出陣の編成とかもあるしね」
「あぁ。最近の時間遡行軍は強くなってきているからな」
『うん...』
「そんな顔しないでよ」
「俺達は強い。信じろ」
『うん。それは私が1番知ってるよ！』
「全く...」
『よし！鍛刀部屋に行こう』
「あぁ」
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
