第72話 ページ25
布団を敷き寝る準備をしていると電話がなった
審神者様？こんな時間にどうしたんだろう？
『はい』
[すまない。俺だ]
『三日月さん？』
[うむ]
声で分かるけど、オレオレ詐欺みたいだな
[先程充電が切れたのでな、かけ直させて貰った]
そういえば、三日月さんは何も喋ってなかったかも
『どうしました？』
[そなたの声が聞きたくてな]
『ふふ、三日月さんも寂しいんですか？』
[寂しいぞ？そなたが居ないと物足りん]
『えっ...』
少しからかっただけなのに、まさかそんな返事がくると思わなかった
[お茶に茶菓子がないのと同じだ]
『どんな例えですか』
[はっはっは]
『三日月さん、ありがとうございます』
[なんのことだ？]
『みんなから電話がかかってきた時、みんなの声が聞けて嬉しかったんです。だけど、電話が切れた同時に寂しくなってきちゃって...』
[そうか...]
『だから、寝る前に三日月さんの声が聞けて嬉しかったです』
[声か...。今、そちらの本丸には三日月宗近が居る。声は同じではないか]
『同じ三日月宗近でも、私には違うんです』
[...そなたに会いたくなった]
『え？』
[Aに会いたい]
『私も、三日月さんに会いたいです』
三日月さんに会いたい
みんなに会いたい
自分がどれだけ本丸が恋しいか初めて知った
[相思相愛だな]
『難しい言葉を知ってますね』
[しじいだからな。はっはっは]
『ふふ...』
[帰りを待っている]
『はい』
[ではな]
『三日月さん！』
[なんだ？]
『おやすみなさい』
[あぁ。おやすみ]
なんだか良い夢が見られそうだな
「嬉しそうな顔をしているな」
『三日月さん！？こんな時間にどうしたんですか？』
「明かりがついていたのでな」
『ちょうど今、寝ようと思ってて...』
「お主は本丸が好きなのだな」
『え？』
「すまない。覗き見をするつもりはなかったのだが、電話をしている時のお主の顔は楽しそうに笑っていた」
『そ、そうですか？普通ですよ』
「俺は所詮、違う本丸の刀だ。お主をそのような顔には出来ん」
どうして悔しそうな顔をするの？
三日月さんが分からない
「電話、話すことそれだけで良かったの？」
[あぁ。声を聞きたかった。それだけだ]
「三日月宗近のこと、気にならないの？」
[気にならないと言えば嘘になる。だが、今仕えている三日月宗近は俺だ。それを分かっていれば良い]
「つまらない。まぁ良いわ。そろそろ頃合いかもしれないしね...」
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
