13 ページ14
「……これから、緊急の会議を始めましょう」
その言葉に誰も反論するものは居らず、静かに全員が頷いた。
「議題は、監督生さんについて」
先程の会議よりも真剣な空気が流れる。
まだ自分の膝の上ですやすやと眠る少年に、イデアはゆっくりと目を向けるしかなかった。
「じゃあまず、このことを学園長は知っているのか、だな」
「あ、僕そのことについて監督生さんから聞いたよ！
『多分知らない』って！」
「「「……」」」
クソデカため息が響く。
これは絶対、三人以上はため息をついてる。
「学園長が知らないってことは、教師陣も勿論知らない……」
「教師陣が知らないってことは……」
え、監督生が可哀想。
誰が呟いたのか、誰がそう思ったのか。
その答えは、……全員だ。
普段考えなんて一切一致しない寮長達であったとしても、この時ばかりは流石に一致した。
自分達がヴィランということも忘れ、話の少年に慈悲の心を向ける。これは仕方がない、とやはり全員が思った。
「……一度草食動物に尻尾を踏まれた時、怒鳴っても無視してきたのはそういうことかよ……」
「監督生、よく下向いてるもんなぁ」
「しかし、エースやデュース達はどうして言葉を話せない監督生とずっと一緒に……？」
「いえ、あのお二人とグリムさんが会話をしてる際、苦労していると話しているのを聞いたことがありますよ。
……悪いやつではない、というのも一緒に」
「そ、そういえばさっき、監督生氏と少しだけ話した時……
『言葉が通じる』と喜んでいて……」
思い思いに、それぞれが監督生にまつわるエピソードを話す。胸に空いた穴を埋めるように、呟くように……
「これは、この事情を知らなかったアタシ達の責任でもあるわ。監督生を恨んだって仕方がない、だって監督生は読み書きができないんだもの……」
「このことは僕達がそっくりそのまま学園長や先生達に話に行くとしよう。
そして、この後の監督生への対応を決めよう……！」
この場に学園長がいたら、きっとこの団結力で泣いているだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1156人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ray - この小説を読むと暖かくて優しい気持ちになれるので大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2022年8月17日 0時) (
レス) @page39 id: aecf2fd8ab (このIDを非表示/違反報告)
筆跡(プロフ) - レモンさん» コメントありがとうございます！私は監督生くんの年齢と離れているため、実際の口調と合っているか分かりませんでしたが 同年代の方にそう言っていただけて幸いです！これからも頑張りますー！ (2022年8月8日 22時) (レス) id: defeff8d6b (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 初コメ失礼します！前からこのお話は読ませて頂いております！！最新話、とても面白かったです。男主くんに年が近いのか親近感わきます、、、、、。英語がわからないのは辛いですよね、。これからもお体に気をつけて、頑張ってください！応援してます！ (2022年8月7日 21時) (レス) @page39 id: 069557edb4 (このIDを非表示/違反報告)
筆跡(プロフ) - おいさん» コメントありがとうございます！あそこは私も書きながら笑っていました(笑) 更新頑張ります！ (2022年1月30日 3時) (レス) id: defeff8d6b (このIDを非表示/違反報告)
おい(プロフ) - 最後みんなの心配さにホワッとして笑っちゃいました！笑 これからも更新楽しみにしてます！ (2022年1月29日 23時) (レス) @page37 id: cdba16656d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：筆跡 | 作成日時：2022年1月13日 7時
