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第23話 ページ24

中原サン家を飛び出てきたのは善いものの。

『(……しまった、)』


CLOSE(店仕舞い)の札が提がる硝子越し。
誰も居ない店内の洒落た時計針が指していたのは、六の真上、丁度だった。

何も考えず一目散に仕事場へ来てしまって服もそのまま、髪も顔も_____熱と高鳴りだって。


『ううあ!違うって、違う!』


他人の服を着ておいて何が違うのだろうか。一刻も早く脱ぎ捨てたい。この、中原サンの香りが染み付いた寝間着を。

なんて、行先も見当たらずにとぼとぼと朝のヨコハマの港を歩きながら胸を抑えた。


……責任って、何なの。



「ばあ」

『っ、?!』



_______前略、心臓が飛び出た。死す。

突然降りかかった声に足元が眩み息も止まり肩が硬直。その後胸をぎゅっと掴んでいることに気がつき………あれ、心臓は飛び出て居なかった。

が、鼓動は早まって肝はギンギンに冷えた。
そりゃもう南極に放り込まれた私の肝…。


「ふふ、平気かい?寝癖のお嬢さん」

『は…』


そしてふっと息を吹き返して、その聞き覚えのある声に呆気を取られた。
気付いたら腰には腕。耳障り無く撫でる甘い声。斜め上にはあの整った耽美なお顔___


『…え、だざいさん?』

「朝からそれも仕事外でAちゃんに会えるなんて幸運だねえ。そんな格好でどうしたんだい?それとも、どうにかされたいの?」


どうにかって何ですか。どうにかって、……どうにか…。



“ 責任 ”?



『うああっ、な訳無いでしょ!!!』

「ちょ、落ち着、痛い!」


引っ付く男を引き剥がさんばかりに突き放した。のにそれも無意味。ただ「傷口が広がっちゃう」と可愛く云われただけだった。


『……もう、ほっといて下さいよ。大体…』

「真逆此の儘その格好で彷徨く気?」


うっ、いや、それは。
一理あるどころか二理、否、十理位あるんじゃないだろうか。『忘れてた』と苦笑いを零せば、支えてくれた腕がずいずいと私を押す。


「まあまあ、近くに私の部屋があるから寄っていきなよ」



太宰さんはコンビニがあるから寄ろうよ、みたいな口振りで


『はあ!?何で太宰さんの家なんかに』

「仕事まで善いじゃない。それに……そうだねえ。何でこんなに脈が早いのか気になるし、矢張り無理やり連れて往っちゃおう」

『はあ!?』


意味が判らない。何故私はこの男に連行されなきゃならないのだろうか。太宰さんには何も関係無いのに。


「私の嫌いな香りがするのは何故だい?」


関係無い筈なのに。

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高澤白 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月6日 22時

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