第21話 ページ22
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「(_____っ、どうしろッてンだよ…)」
遣り場のない目。
感じる体温のせいで大きな動きは取れないし、手は空をさ迷い葛藤と重圧のせいで肺は押し潰れそう。
第一俺の背中を、……Aがぎゅうっと握っているせいで抜け出す事さえ出来ない。
「(之じゃあセクハラで訴えられても勝てねェぞ…)」
兎に角心臓が爆発する勢いで暴走し始めて体温は上がるばかり。
だからもう、ああ、もう、…駄目なんだッて…。
胸の中で眠るAにチラリと目をやれば、其奴は俺の気も知らないで心地好さそうに引っ付いて。
「……無理、」
ふわふわした感触に胸を突かれ、そう呟いた。
目が天を泳ぐ。
まるで自分の鼓動だけが直接聞えてンじゃねェのかって位五月蝿ェ。
それ以上に自責の念も_________、
『……』
「危ね、ェ、」
咄嗟に抱き寄せた左手。
寝返りを打とうとし落ちそうになったAを支えて一件落着。危ない。そう、一瞬焦ったが、
_____________抱き寄せた左手?
我に返って確認してみる
寝返りを打ちそうになったA。
だから咄嗟に、俺は思わずその背を支えた。
華奢な背中に回った左手。
一段と速まり脈打つ心臓。
触れなければ未だ誤解を溶く余地は有ると思っていたんだが
「(いやいや、……違うンだって)」
思わず頭を垂れて右手で顔を覆った。
だって之は不可抗力だろ…。
俺が手を回してなけりゃあAはソファから落ちて居た。
朝から何てハプニングだよ、なんて自分を責め立ててみる。それでもこの状況が変化する事なんて無かった。
心臓も鳴り止まねェ、それどころか冷や汗が酷い。
と云うか焦るか緊張するかどっちかにしてくれよと思う。
そんな最中だ。
あれ、とAの寝顔を見詰めた。
先程まで規則正しく行われていた呼吸が、何故か止まっている。
心配で声を出そうとしたが、瞬時にそれは喉へと引っ込んだ。
目の先には、みるみる内に真っ赤に染まる頬。
熱っぽく高くなる体温に
遂には耳まで
……ふうん?へェ、そう?
こんな状況で赤面ッてのはなあ
意地悪したくなるに決まってンだろうに。
なら、さっきの仕返しでもしてやろうか
なんて
何で抱き着いた側が恥ずかしがってンだか。
自然と上がる口角のまま、俺は少し態とっぽく声色を変え、息を吸って、俺の服に顔を埋めるAの、隠れられて居ない耳に問いかけた。
「おはよ、A」
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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