晴れ ページ12
「ええと、それはどういう意味です?」
胡散臭い男の笑みはねっとりとしていて、耳障りな嫌味の
その髭、苦すぎるよ。甘味には似合わない。
「君なら此方に傾注すれば直ぐに
この
なんだ、嫌味に嫌味を重ねた
とりあえずネクタイを摘み私に見せる男に笑いを返した。伊産でしたかー
「お似合いですよ」
お似合いだ。きっとどれも一点物の高級品で、私には手の届かない領域の商品。値段だって見ただけで心肺停止してしまうだろう。
けど
「だろう?だから君も」
「私だったらネクタイなんかじゃなくて傘に掛けますけどね」
私はその服を全て身につけた、完璧で似合う男の人を知っている。
この男は、服に着せられている感じしかしない。
私の瞳と言葉に面食らって挙動不審になる男は、漸く「何故傘だね?」と一言呟いた。
「あ、…ああ、仏産の特注だったり」
「いいえ?別に、国は気にしていません」
肩を竦め今持っている傘を握った。
「国なんて唯の飾りでしょう?私は自分に似合うものなら何でも善いのです」
男は狼狽えるばかり。
結局、
「ですから自分に合った仕事を_____異能特務科と此処、どちらも適性なら務める限りですので」
さ、今回はどのような要件で?と男を見詰める。
灰色掛かった髪は今にも吹き飛びそう
「……内務大臣として、異例の君に直接の任務と相談なのだ」
異例の、というのは『異能特務科』と『軍警察』を平行させ職を持っているという事だろう。
そんな私にしか出来ない仕事
「港を縄張りにしているマフィアの現行犯逮捕だ」
「マフィアの、ですか?」
「嗚呼。宜しく頼むよ。奴らはあの“異能力”を使うんだろう?」
確かに。警察は犯行現場を目撃し決定的な違反を確立させた上での逮捕しか出来ない。___それも、奴らは私達と同じ異能力を持ち合わせた人間だ。
異能には異能を、そして、現行犯を目撃するに適切な人物は_____
「私、だと」
「研究上接触もあるだろう。その中で法で裁ける権利を持つのは君のみだ、まさに君にしか出来ない」
静かに頷く。
エリートを全うしている私には簡単な事だった。
390人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にんじんさん。(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…! (2019年6月4日 16時) (レス) id: 13fcb4bada (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あなたもしや…、中也推しですか!? (2019年1月7日 0時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 白井なでしこさん» コメントありがとうございます。ありがたい言葉ばかり並んでおりますね笑とにかくありがとうございます!頑張ります! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 月ノ輪さん» ひゃー、お世辞でも嬉しすぎます…。前作もありがとうございます!そのコメントだけで次も頑張れますので期待に応えられるように書いていきますね!コメントありがとうございました!! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - ユーナ橘さん» ありがとうございます…!少しでも雨に対する思いが伝わればいいな〜と思います。こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございました! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ