第7話 ページ7
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不機嫌そうに釣り上がった青い瞳とぶつかって数十分。
ヨコハマの夜景が一望できる高級
『……………?』
「何ボケッとしてンだよ」
『いや、だって』
「
否、そう云う事ではなくて。
純白の
既に胃に入った仏料理は美味しすぎたけれど。
『そうじゃなくて』
一寸前には此処の
「あ?何だよ」
『
「はあ……ンな事かよ。さっき手前を見付けた時だ」
『一時間も経ってないじゃん』
中也にそんな権限があるって云うのか。
え?と云うか、さっきは当たり前にサラリとエスコートまでされたよね。思って居たご飯と違う。気が狂う。だって、あの中也だよ?
「…………さっきから何だよ」
『四年のうちに何があったの…?』
「……はァ?」
夜空とネオンを背景に、呆れた顔でシャンパングラスを傾ける中也は、大人の男宛らだ。
私の知って居る中也はこう、ガサツで短気で喧嘩っ早い。
顔こそは変わって居ないのに、端々に品の善さや気遣いを感じるから、その度に、胸が鳴ってしまうじゃないか。
『……本当に幹部になったんだ』
「嗚呼……まあな」
シャンパンを一口流し込んで向かいに座る中也は夜景に視線を落とし込む。
飾られた夜と店内の暖色に当てられた横顔は、何時間でも見られる位、夜景よりもずっと綺麗で。
「云っとくが、こりゃあ昇格祝いじゃねェからな」
『?』
不意に此方を向いた何よりも輝く青色に、目を奪われる。
「手前とじゃなきゃンなとこ来ねェよ」
其れは────如何云う意味でしょう。
何故だか中也が、とっても格好善く見える。夜景
『…………あ、“こんな所”で思い出した』
「…………」
そして私はふと、大切な事を思い出した。
此方に家を借りていない事。また宿の予約もして居ない事。
何か善い案は無いか────
『あ』
「……??」
真正面を見詰めた。
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空浮 - 気づいたら全部読み終わってました!めっちゃ感動しました!ありがとうございました (3月26日 16時) (レス) @page45 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
(3)(プロフ) - この儚い感じがめちゃくちゃ好きです!!なずなの花言葉見て尊敬しました!素敵なお話をありがとうございました!! (9月22日 22時) (レス) @page43 id: 3b6fa5f09a (このIDを非表示/違反報告)
べべべーべ(プロフ) - ぼろっぼろに泣きました。とても素敵な作品でした。中也の立場にも胸が締め付けられました…ありがとうございました (9月12日 19時) (レス) @page45 id: 49ba69b450 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - aさん» 密かでも死ぬほど嬉しいですここまで長くなってしまい申し訳ありませんでした!並びにお付き合い頂いて本当にありがとうございました!完結できたのは読んでくださった皆様のおかげなので…コメント噛み締めて余韻に浸らせて頂きますね…ありがとうございました! (2023年3月31日 20時) (レス) id: 4197b069bb (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - yuuki Sさん» 最後まで本当にありがとうございました…!何度もコメントくださってとても嬉しかったです。私のモチベでした( ᐪ ᐪ )♡寂しいと言われこちらも寂しくなってしまいました。終わらせるのが惜しいです。本当に最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2023年3月31日 19時) (レス) id: 4197b069bb (このIDを非表示/違反報告)
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