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第3話 ページ3

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商業施設が立ち並ぶ巨大な駅。
何処に居ても見える、時計の付いた観覧車。
別世界の様に異文化が発展した賑わう中華街。


とりあえず、考え無しに出て来たは善いものの。



『(─────何処も人が多すぎる……)』



歩けば歩く度、人、人、人、人、人ばかりだ。

そう云えば此処は観光都市だったか。
人酔いってやつ。アンド、四年間送り迎えを頼んだツケ───病名は運動不足。が、今になってやって来るとは。

完全にへろへろになった私。
そうして辿り着いた喫茶店で、項垂れながら珈琲を頼んだ。


『(首領、散歩ってこんな感じで宜しいでしょうか)』


頭を抱える。休暇がこんなにも難しいだなんて。
明日は広津さんに連絡して仕事でも貰おうか。否、明日迄なんて待てない。珈琲を飲んだらもう連絡しよう。そうする。


そう、心に決めて、突っ伏した上半身を起こした時だった。



「───鏡花ちゃん!急用の仕事が入っ、わわ!?!」

「───きゃっ」

『ん?』


来客を知らせる(ベル)の音。
若く明るい少年の声と掛ける靴音。

そして上がった小さな悲鳴と食器の音。

全部が同時に起こった一秒後、右を向いた私に降り掛かるのは─────飲み込むはずの、冷たい珈琲だった。



『────嘘』



─────ビシャッ、と水のかかる音がして。
直前には茶褐色の世界まで見たよ。真逆顔面から被るとは。


「す、すすすすすみません!!!」

「今拭くものを!!!」

「……敦、何してるの」


余りに突然の出来事で瞬きひとつ出来なかった。
冷たい珈琲を被って固まったまま、私は『平気ダヨ』(まだ状況が飲み込めていないだけ)と口をぴくりと動かす。


「本当にごめんなさいい」

『大丈夫大丈夫、私珈琲好きだから』

「大丈夫じゃないですよね!?!」


事故の発端である幸薄そうな白髪の少年。
其の彼に、滅茶苦茶腰を低くして頭を下げられる───その後ろで、和装を纏った店員さんが慌しく駆け回っていた。


『本当に大丈夫だから。頭を上げて?ね?』

「で、でも……あの、じゃあせめて……ええとそうだ!手拭い(ハンカチ)!僕ので善ければ使って下さい!!」

『え、ええ?いいよいいよ。この後も予定とか無いし』

「僕が駄目なんです!!」

『え、ええ……??』


そう云って差し出された白い手拭い。

弱気な顔して中々押しが強いな少年。なんて、受け取らなければ罪悪感で死んでしまいそうな少年に免じて渋々それを受け取った。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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空浮 - 気づいたら全部読み終わってました!めっちゃ感動しました!ありがとうございました (3月26日 16時) (レス) @page45 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
(3)(プロフ) - この儚い感じがめちゃくちゃ好きです!!なずなの花言葉見て尊敬しました!素敵なお話をありがとうございました!! (9月22日 22時) (レス) @page43 id: 3b6fa5f09a (このIDを非表示/違反報告)
べべべーべ(プロフ) - ぼろっぼろに泣きました。とても素敵な作品でした。中也の立場にも胸が締め付けられました…ありがとうございました (9月12日 19時) (レス) @page45 id: 49ba69b450 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - aさん» 密かでも死ぬほど嬉しいですここまで長くなってしまい申し訳ありませんでした!並びにお付き合い頂いて本当にありがとうございました!完結できたのは読んでくださった皆様のおかげなので…コメント噛み締めて余韻に浸らせて頂きますね…ありがとうございました! (2023年3月31日 20時) (レス) id: 4197b069bb (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - yuuki Sさん» 最後まで本当にありがとうございました…!何度もコメントくださってとても嬉しかったです。私のモチベでした( ᐪ ᐪ )♡寂しいと言われこちらも寂しくなってしまいました。終わらせるのが惜しいです。本当に最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2023年3月31日 19時) (レス) id: 4197b069bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高澤白 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2023年2月1日 22時

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