天敵と天敵 ページ9
｢古神か。｣
自販機で買った飲み物を拾い上げた時に聞こえた声。
うわぁ……まじか。
ていうか、なんで声掛けてきたのこの人……。
｢どうした。具合でも悪いのか。｣
しゃがんだまま黙っている俺を不思議に思ったのかそう尋ねてくる。
このままだと普通に失礼だと思うから、バレないように溜息を吐いて立ち上がる。
｢お疲れ様です、ニノミヤサン。｣
｢あぁ。｣
あぁ……。
あぁって？？
読めない、この人マジで読めない。
正直言ってこの人、二宮さんは苦手である。何を考えているか分からないしなんか圧力があって怖い。
個人ランク戦で対戦した時は表情変えずフルボッコにしてきたし、挙句の果てに｢手持ちの武器を見せびらかしたいだけの犬か。何も考えずに撃ち込むのなんて3歳児でも出来る。｣とこれまたボロクソに言われた。
なのにこうやって遭遇すると声をかけてくるのが本当に謎。
｢な、何カ、ゴ用デシタカネ。｣
｢？……どうしたんだ、ちゃんと喋れよ。｣
ぐっ……！！
この人、マジでなんなの！！
もうやだ逃げたい。誰か助けて。
この際双葉でも誰でもいい……！
いや流石に双葉はちょっと……。(失礼)
｢あら、二宮君と李香じゃない。｣
｢……加古。｣
助けを求める俺の前に現れたのは俺の隊長、加古さん。
加古さんかー……。(失礼2)
｢？…どうしたの李香、そんなに怯えた顔して。二宮君に何かされたの？｣
｢俺は何もしていない。挨拶をしただけだ。｣
｢そう。彼に用があるなら早く終わらせてくれないかしら。私も任務の事で彼に用があるの。｣
｢なんでお前はいつも偉そうなんだ。｣
えー
この人達ってほんと、元同じ部隊のくせに言い合い耐えないよな。
お気付きだろうか。
事態は何も解決に進んでいない。
｢あ、いたいた！ここに居たんですか、二宮さん。ももには会えましたか？｣
｢犬飼。古神ならここに居る。｣
この声は犬飼先輩…！
やっとまともな人が来てくれた。
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作者名：ゆっけ | 作成日時：2022年11月10日 19時
