馬鹿に巻き込まれていい事なんてない ページ4
「なんで……なんでこうなったぁー!!」
仮想空間に響く俺の声。
よく響くなあ。どんな構造なんだ。
いやいやいや、そうじゃなくて。
今目の前で不敵に笑ってみせる出水。
「悪いなー相手してもらっちゃって。ポイントはごっそり頂くぜ。」
これまでの状況を説明しよう。
ソファに倒れ込んでいた俺をA級三馬鹿はほいさほいさと持ち上げてソロランク戦のブースに投げ入れた。
流石に奴らにも良心はあったらしく、戦うのは1人だけにしようという事になり、ジャンケンで勝った出水が俺の相手となった。
5本勝負の3本目、今の所は0対2で俺が負けている。
というか本当にやる気が無かった。
何も分からずブースに放り投げられて何も分からず仮想空間に転送、そして弾バカと呼ばれる出水は流石射手2位という腕前で俺の身体に穴を開けて2点をもぎ取った。
「はぁ……早く終われよ。」
「その為にはどっちかが勝たねーとな。」
「出水、俺やる気ないんだけど。」
「じゃあ大人しく負けて俺にポイント持ってかれればいいよ。」
そう言って出水は両手から通常弾を出した。
「通常弾…!!」
「くそ!両攻撃とか容赦なしかよ!!」
俺に向かって放たれた数十発の通常弾。慌ててシールドを固めて俺はニヤリと口角を上げた。
「……変化弾。」
瞬間俺の後ろから出水へと変化弾の雨が降り注ぐ。
両攻撃をしていた出水には数発当たったが彼は直ぐにシールドで守りに徹した。
だが、俺の設定した変化弾は命中時間も軌道もぐちゃぐちゃにズラしているから未だ弾の雨は降り注いだまま。
きっとあと5秒くらいは持つだろう。
その隙に俺は先程の出水と同じように両手から通常弾を出す。
「徹甲弾…!!」
「くそ、古神お前!!」
俺の放った徹甲弾は変化弾を防いでいた出水のシールドを突き破り出水本人の身体を貫いた。
『戦闘体活動限界。緊急脱出。』
その後の勝負は1点はまた俺が取って、最後の5本目は引き分けに終わった。
「やったー出水と引き分けとか、上出来ー。」
「古神お前、わざと焦った振りしてたんだろ。まんまとやられたぜ。」
「余裕そうな出水君の焦る顔が見たくてぇ〜。」
「相変わらずいい性格してんね、ももちゃん先輩。」
「でもお前、本当に最初やる気無かったろ、なんで急に頑張り出したんだよ。」
「いや、負けて加古さんまで話が行くと厄介だから…。」
「あぁ。(察し)」
という訳で俺VS出水のランク戦は幕を閉じた。
出来ないんじゃない、やらないんだ。→←追い討ちの如く個人ランク戦
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2022年11月10日 19時