_02 ページ25
「決めた、私アイツに電話する」
先輩が放った一言を、俺は一瞬、理解できなかった。
到底、理解できる内容の発言ではなかった。
「は……?ア、アイツって……まさか、」
「うん、そう、例の元カレ」
「はあ……!?」
「もちろん、よりを戻そうとか考えてる訳じゃないよ?ただ、きちんと面と向かって話したいなって」
あんぐりと口を開ける俺を無視し、先輩は話を続ける。
「人のせいにするつもりじゃないけどさ、やっぱいつまでもアイツを引きずっちゃうのって、面と向かって別れ話が出来なかったからだと思うんだよね」
あんな大事な秘密を打ち明けられたのだって、電話でのことだったし、と。
「それにあの時は感情的になっちゃって、言いたいことの半分も言えなかったからねー、まだ凄くモヤモヤしてて……。だから、今度こそ実際に会って、目と目を合わせて、ちゃんと話がしたいの」
しっかりとした口調で、意志の強さを感じられるトーンで先輩は俺に言う。
「目を合わせて、言いたいことを丁寧に伝え合って、それでお互いをフリ合えばさ、私だって諦めがつくから」
先輩は清々しい苦笑を浮かべ、最後にこう言った。
「そうしたら、もう坂田にズルなんてしないはずだから」
本当はその例の元カレに会って欲しくなかった。
もちろん、先輩を信頼していない訳じゃない。
ただ、あんな最低な男にこれ以上関わりを持って欲しくなくて。
……だが、いつまでもあの男を忘れられず、ソイツの為に涙を流し続ける先輩を見るよりかはマシかもしれない。
そう考え、俺は深く息を吸った。
「……やらかさねェようにな」
「大丈夫。もうだいぶ、整理はつき始めてるから」
頼もしく頷き、ありがとね、と笑う。
「ま、これで向こうが私の誘いを無視したら、計画はおじゃんなんだけどね」
「たしかにな、そこで躓いたら、後はどうにもならねェもんな」
「……だから、成功するようにそこで祈ってて」
ソファーの下に落ちていたカバンの中からスマホを取り出し、先輩は淡く微笑んだ。
そして、電話を掛ける為に部屋を出ていった。
残された俺は一人、神様とやらにお願いするために心の準備を始めた。
コートを着たまんま、床に座ったまんま、両手を合わせ、指を組み、目を閉じる。
ここ数年、初詣すら行っていないこの俺の願いを天が聞き入れてくれるのか甚だ疑問だが、念ずれば通ずということわざがあるし、きっと叶えてくれるはずだ。
……頼むぜ、神様。
神様にすら敬語を使わない俺。
────しかし、願いはこれより数時間後に叶えられる。
31人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Physics(プロフ) - ひなさん» ひなちゃん、ありがとう!!私も最近テスト前で低浮上だから、気にしないで!そう言ってもらえて、ハッピーエンドにして良かったって思えました(*^^*) 今後とも宜しくお願いします! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最近ら低浮上だからお祝いのコメするのが遅れてしまった……(。ノωノ)ごめんね…最初から最後までドキドキしながら見てたよー。最後はハッピーエンドで終わって良かった!!私まで幸せになったよ!沢山のドキドキをありがとうございました! (2018年2月15日 22時) (レス) id: 843e6f4730 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 枕崎さん» ざっきー、ありがとうござりまする!設定を気に入ってもらえて嬉しいです、コーハイ銀さん美味しいですよね(^q^)オトナな銀八先生もクラっと来ちゃいますけどね!そして、素敵な愛の告白をありがとう!笑。もちろん私も大好きだぜ(*´∇`*) (2017年12月29日 21時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
枕崎(プロフ) - おめでとう、と言おうと思ってたら遅れてました(゚ロ゚)ぴーちゃん新作とかおめでとうございます!!私は銀さんを先輩として愛でたいタイプなのでこの設定めちゃんこ好みです!!応援しているので無理はしない程度に頑張ってね。貴女の事が大好きな女より(やめろ) (2017年12月29日 11時) (レス) id: 3bcc06a411 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます!!さすが、ひなちゃんの脳内には銀さんが生きてるんですね!笑。これから色々深夜枠チックなことをしちゃったりしますが、楽しみに読んでいただけると嬉しいです!頑張りまーす! (2017年12月24日 21時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ