【銀魂】五回目の乾杯で酔えば【坂田銀時】

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東口で坂田と落ち合い、彼のおすすめの飯屋とやらに連れて行ってもらった。

昨日の今日ならぬ、一昨日の今日だが、坂田は平常運転だった。


「安いくせに、味がいいっつー完璧な店」


カウンター席に腰掛けるなり、さっそく生ビールをジョッキで注文する坂田はなかなか様になっていた。

ちゃんとスーツも着こなせていたし。

やっぱり、坂田はバーにいるより、こういうくだけた店にいる方が似合っている。


私は軽めのチャーハンと、チューハイを頼んだ。

そして、「かんぱーい」と喧騒の中、ジョッキとグラスを合わせた。


「ん、美味しい……！」


ほわほわと湯気を立てているチャーハンをスプーンで掬い、口に入れてから、私は言った。


「私も時々家で作るけど、こんな上手にパラパラに出来ないんだよね」


さばの味噌煮をつまみながら、坂田は私を横目で見て、だろ？と自分のことのように得意気な顔をした。


「チャーハンはここの看板メニューなんだよ」

「へえ、どおりで……」

「お目が高いですね、先輩は」

「やめてよ、もう」


笑いながら、チャーハンをまた口に運ぶ。

すると、坂田は懐かしそうに目を細めた。


「……な、なに」

「いや……そういや、一昨日は訊くの忘れたけど、弟くんは元気？」

「ああ、」


チューハイを呷り、頷く。


「元気にやってるみたいだよ。まだ、バンド仲間とも時々会ってるみたいで」

「おー、そりゃ良かった」

「……ね、そろそろ時効じゃないの？」

「は？」


きょとんとする坂田。


「あの子をどうやって手なずけたの？」


昔、一度だけ坂田に弟の身元引受人になってもらったことがあって。

その日から、少しずつ弟の様子が変わり始めたのだ。


「前ははぐらかして教えてくれなかったけどさ、そろそろいいじゃん、教えてくれても」

「はあ？いや、もうそんなの忘れたよ」

「まーた、そうやってはぐらかす……」

「言っただろ、進路指導をしただけだって」


やっぱ覚えてんじゃん、と溢せば、勘弁して下さいよ先輩、と坂田は苦笑した。

そして、生ビールをお代わりした。


「そういや、先輩は仕事納め、いつ？」

「んーと……明後日」

「じゃ、明後日もまた飲もうぜ」


俺は明日で仕事納めだから、と。

誘い方があまりにも自然だったから、私はいいよ、とあっさり頷いてしまうのだった。

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