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103話 ページ7

夏希side

間に合わなかった。Aの実家に着いたときには既にアイツがいた。

戯れ言を抜かしているのが腹立たしくて思いっきり蹴飛ばす。

蹴り倒しても尚動く口。埒が明かないと分かっていても俺の体は反応する。

自分の母親の悪口を言われて黙れるやつがどこにいる……!


「遺書を偽造しようとしたやつが、俺の親友の家族関係までもぶっ壊したやつが何を言ってやがる!

この快楽主義者が!」


俺の家系は全員得意なことが一つある。俺は嘘を見抜くこと。コイツも例外じゃない。そしてコイツが得意としてたのは

人を絶望させることだった。しかも巧妙な手口で。

気絶させるにも体格差がありすぎる。だがコイツを野放しには出来ない。


「紫、警察に電話!黄色はなんか縛れるもの持ってこい!コイツをもう一回牢屋に叩き込む!」

一「分かった…!」

十「あい!」


二人が動いている間に俺は起き上がろうとする東郷を体で押さえつけた。


「親戚って、どういうことだよ…」

「……今は楠、旧姓は神崎。俺の母親の旧姓が東郷だ」

「……うぅ」


桃色が崩れ落ちた。……そういや知ってたな、コイツも。赤青緑の三人組は死んだ魚のように口をパクパクさせたまま動かない。


「俺ら、は…?」

「なんなの、一体……」

「……お前は、何でそこまで俺らの妹に執着するんだ」


執着とはなんだ。思いっきり俺の足元のコイツをバットで殴ろうとした黄色を止め、紫と一緒にロープで腕と足を縛る。その間に青色の問いに答えた。


「執着じゃねぇ。……依存だ、共依存」

「?」

「俺が【可哀想な子】として扱われる中、普通に接してくれたのがAだった。

Aが虐められているときに味方になったのが俺だけだった。ただそれだけだ。

お互いがお互いしか受け付けてねぇんだよ」


最後に縛るのを終えると同時に嫌な予感がした。項垂れているコイツの口元は酷く歪んでいる。目線の先には腰を抜かす赤色。

口を窄める素振りから瞬時に悟った。口に何か仕込んでいる。気付いた俺の行動は早く、利き手は異常に熱を帯びる。


「クッソ、もう寝てろや…!」


攻撃の為に屈んでいたコイツの顔を蹴り飛ばす。一応加減はしたからか骨の折れる音はしなかったし、意識もトンだようだった。


「折りたたみナイフの刃先だけ口に仕込むとか、最後までやること汚ぇな」


吐き捨てるように呟く。てか勢い出てたのか刃先埋まってるし。

……抜くべきだが、抜けない。どうしたもんか。

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yamaneko(プロフ) - この作品大好きです!更新待ってます! (2022年5月29日 17時) (レス) @page23 id: 07c8e63397 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 個人頑張ってください!一気に読んでもう…泣けてくるわ (2020年6月26日 0時) (レス) id: 754c695e6f (このIDを非表示/違反報告)
るるるs - 98話 天ノ弱を歌っているのはGUMIですよ。(少しばかりの訂正文失礼しました) (2020年6月1日 0時) (レス) id: 237a7189ae (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - あと、この小説に出てくる歌い手さん全員大好きです!! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - 1日で一曲目二曲目三曲目読んじゃいました!!!好きです!こういう深いの大好きなんです。更新頑張ってください!! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三鈴 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年8月1日 10時

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