【おそ松さん】俺らの嫌いな妹は俺らが好きな歌い手だった 1曲目

２話 ページ3

もちろんお昼はくるわけで。一階は賑やかだから兄さんたちがバカみたいに騒いでいるんだろう。

スマホにイヤホンをつけて、ようつべを開く。オススメとして出てきたのは歌ってみたの動画。



『なにこれ、【クライヤ 歌ってみた】？』




気になった私はその動画を聴くことにした。読み込みのぐるぐるが消えて動画が始まる。



“ーーー不安になるとね、涙は自然と溢れてーーー”



私にぴったりの曲だった。兄さんと同じになれない私。６人で１つの兄たちと私は兄妹だけど兄妹じゃなかった。

私がいなければ良かったと、いっそのこと死んだらハッピーエンドになるんじゃないかと、数えきれないほど考えてた。

いつの間にか曲は終わってたけど、私は動けなかった。

今まで聴いた曲は何か違った。『諦めるな』とか『頑張れ』とか前向きな歌詞ばかりだった。

私はそれが嫌だった。どこか偽善のように感じてしまっていたから。

そこからは早かった。いろんな歌い手さんの曲を聴いたり、同じ曲を聴き比べたりしていた。

居場所の無かった家は、少しだけ色がついたような気がした。



でも、私は気付いていなかったんだ。一階の騒ぎが静かになっていたことに。

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