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昔々 九 ページ31

それを聞いた男は錯乱した。

もういい、お前も餓鬼も殺してやる、そうすれば証人も何も残らない、とわめき散らしながらまっすぐに走ってくる。

あの出血量で何故走れるのか…彼がそう思った瞬間。

彼女が振り返り、彼を抱き締めた。
それと同時に彼女に大量の血がかかる。男が持っていた刀は折れ、その頭は胴体と別れて二度とくっつくことはなくなってしまった。



目の前で人が死んだことに対し、彼は何とも思わなかった。ただ、目の前で起きたことを脳が認識しただけ。なんの感情もおきない。

だが彼女は違ったようだ。彼が少し動いただけで大袈裟に肩を跳ね、不安そうに顔を覗きこんでくる。さっきの冷酷な口調の鬼は何処へやら、彼女は年相応の少女らしく怯えていた。

「…ねぇ、」
「っ…」

彼が話しかけると、彼女はぱっと抱き締めていた腕を離し、彼と少し距離をとった。

「どうして離れるの?」
「っ……お、主は…怖くないのか…?鬼の、この私が…」
「だって君は僕に何もしなかったじゃないか」
「お主、鬼がどういうものかわかっていないのか!私は人喰い鬼だぞ!?人を殺して喰らって力をつけて…それを繰り返して…ッ、いつかお主を喰うつもりかもしれないのだぞ!?なのに…」
「…それで君が救われるなら構わないよ?僕は教祖だから。皆を救って幸せにするのが使命なんだから」

その言葉にうつむき、震える肩をそっと抱いた少女。
その姿に覚えのあった彼は、血塗れの彼女に恐れることなく近寄った。先程までの頼もしさはすっかりなくなり、ただ不安に怯える彼女を優しく、そしてしっかりと抱き締めた。
上質な着物を、彼女の涙がゆっくりと濡らしていった。

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つるかめ(プロフ) - 絵理奈さん» あっ確かに面白そう…!((何処かで出してみたいです…!!((( (2019年12月1日 22時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 記憶喪失童磨ちゃんに近寄る女性とか居たらそれはそれで、面白くなるかな (2019年12月1日 22時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - レインさん» おのれ只野まじ許さん!ですよね!!((そうです只野が犯人でした!レインさん大正解です!((書いてる私が言うのもあれですけど只野が童磨刺した途端叫びましたよ…w← ありがとうございます!頑張ります!! (2019年11月23日 22時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 只野ォォォォォォォォォォ!! 何しとるんっ!!!!! お前犯人じゃね?っておもっとったけどさぁぁ!!!!!! 童磨刺しやがってっっっっ!! すいませんした、推しが刺されたもんで興奮してしまいましたっ!>< お話とても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年11月23日 18時) (レス) id: 41babb6a13 (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - kameramanさん» ありがとうございます!題名こだわってるので嬉しいです…!! (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つるかめ x他1人 | 作成日時:2019年11月8日 22時

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