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「はい雑魚乙です〜wwwwwあれれ？大丈夫さっきまでの威勢どうした？ww」
通話越しからこれでもかというほど煽り散らかすイデア先輩の声がする
『得意気になってるところ悪いですけど先輩もHPギリギリでしたよ』
「君もわかってないな〜勝てば良いんだよ勝てば」
私は今のところfpsで彼に五連敗中だ。
生来この手のゲームが苦手な部類の人間だと常々自負しているが、これほど負かされると流石に悔しい。
「まぁ？A氏も？段々上手くなってると思いますよ？それでも拙者には及ばないですけどね？ww」
『ちっ、マジで腹立つなコイツ』
「そんな感情的にならないでくだされwwたかがゲームですぞ？ww」
『…もう一戦しましょう』
「りょ〜。まあ僕が勝ちますけどね」
「ふっ、その言葉後悔させてあげますよ！」
結果はもちろん惨敗。
打ちひしがれる私を電波越しに感じとったのか、先輩はその後私が得意な某レースゲームを提案してきた。
得意と言ってもあくまで他と比べて、だが。
「は？待って、このタイミングで赤甲羅は拙者泣くぞ？」
『赤甲羅だけで終わると思うなんてとんだ大馬鹿ですね！先輩はサンダーでも喰らってろ！』
「A氏これは絶許案件」
『なんとでも言いなさ〜い』
やっとこさイデア先輩への復讐が完了したところで今日はおひらきとなった。
所謂勝ち逃げというやつだ。
こんなに白熱したのは一体いつぶりだろうか。
先輩も心なしか口数が多かったような。
半ば諦めていた関係修復作戦すら、今はなんとかなりそうな気がする。
「問題は先輩が私に微塵の恋愛感情も持っていなさそうなところなんだよな〜…」
などと言葉を漏らしつつも、その日はふんわりとした充足感に包まれて終わった。
もちろんこの時は翌朝寝坊し、仕事に遅刻しそうになることなど知る由もなかった。
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作者名：Matyu | 作成日時：2023年9月19日 21時
