おまけ:バレンタインデー2024 ページ27
『は〜〜ヤバい、もう終わり、終了。八方塞がり、詰み』
死者の国の王顔負けの顔面蒼白でデスクに突っ伏す。
「どうしたの、兄さん。初彼女と最初のバレンタインデーだ〜って張り切ってたのに」
どうしたもこうしたもないのよ。
全く上手く行く気がしない。
今更拙者があの子に何したら良いの？
豪勢な花束とか渡しても意識しまくりでキモいですし、ささやかに行ったとして彼女の期待を下回ったら最悪ですし。
最早去年の方が何も考えなくて良くて楽だったかも。
一旦別れます？(迫真)
『もう無理ぽ…拙者の天才頭脳を持って徹夜で考えてもA氏が喜びそうなプランが浮かばん…女の子って何が好きなの…』
「兄さん、」
『やだ、Aちゃんに嫌われたくない…！あんな可愛い子絶対逃したくないのに…失望されたくない…』
「兄さん！」
『ヒっっ？！』
珍しくオルトが大きな声を出す。
「Aさんを侮辱しないでよ！」
へ、どういうこと。
徹夜明けも相まって超絶使い物にならない脳内にクエスチョンマークが浮かぶ。
「兄さんがちょっとダサかったくらいでAさんが失望すると思う？兄さんの醜いとこも知った後で付き合ってるんだよ？」
頬を膨らませて捲し立てるオルト。
「Aさんを、くだらないことで彼氏を振る様な人だって、本当に思ってる？だったら兄さんは間違ってるよ！」
『べ、別にそんなつもりで言ったんじゃ…』
オルトの言う通りだ。
結局、自分に自信がないのだ。
肩を落とす僕に、一生懸命考えたらきっと結果は伴うよ！と、笑顔を見せるオルト。
その頭を撫でるとほのかに温かくて、何故か僕の方が落ち着けたのだった。
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作者名：Matyu | 作成日時：2023年9月19日 21時
