帰ってきてくれた君【月永レオ】

37話 ページ38

Aside




「ありがとう、お姫様」




と言われたのはつい2日前




あんな事があった訳だから



やっぱり意識してしまうわけで



しかもこの休みがなんと



シルバーウィークだったのだ




この頃ハプニングな展開がありすぎて慣れてきたのだろう




私はレオくんの制服をクリーニングに出して




少しの期間お泊まり？みたいな感じになっている




現在レオくんはソファーに寝っ転がって作曲中




鼻歌交じりにペンを動かす私の推し様はやっぱりかっこいい。




語彙力の低下が目立つがなんと言ってもかっこいいのだ





作曲の邪魔にならないようにそっと横を通り過ぎようとすると





「なぁ、」




と手を掴まれた




「えっ….」




その声はいつもよりも低くて少し怒っているのか、ちょっぴり怖い




「なんか避けてない？」




私を真っ直ぐにみるあの目を前に、2日前の記憶が鮮明に蘇る。




つい反射的に下を向いてしまって、




「な、なんでもないですよっ！…ほらっ、作曲した方が…」




できるだけ気を逸らそうとするが




「嘘つき」




ソファーの背もたれを簡単に飛び越え、私を軽く持ち上げた




「きゃっ…」




地面に足がついていない感覚とは恐ろしいものだ





…え？






待って？





お姫様抱っこ？




なんて考えているうちにソファーに投げられる





五線譜は頭の下





ペンは床に落ちていて





「くしゃくしゃだな、その五線譜…まぁいいけど」




いつもとは違った雰囲気に惑わされながら




彼は私の上に被さる

38話→←36話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す